JR中央線に登場、「駅そばロボット」の腕前は? 東小金井駅で淡々とそば茹でる「寡黙な職人」

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「駅そばロボット」の開発を担当しているのはコネクテッドロボティクスの大久保翔太さんだ。

駅そばロボットとたこ焼きロボットは、まったく同じロボットアームを使っていますが、その違いは何だろうか。大久保さんは次のように話す。

「たこ焼きロボットやソフトクリームロボットは、繊細な動きで、かなり学習させています。駅そばロボットに関しては、駅そばというニーズに合わせてスピードと味を第一に考えています」

確かにたこ焼きロボットは、調理工程が複雑なため、できあがるまでに15分近くかかっていた。スピード重視の駅そばは、そういうわけにはいかない。

「特に茹でるときに、生の状態からほぐすのが大変でした。うまくいかないと麺が固まったまま提供されてしまう。実は最初に茹でる際に、お湯の下から泡が出ているんです。ロボットが、上下・前後に振りながら、そばに泡を当ててほぐすように調整しています。あとは、そばを茹でる前後の部分をもう少しロボットでまかなえるようになれば……と考えています」

たこ焼きロボットと比べると、パフォーマンスとしては地味ではあるが駅そばロボットは素早く確実に仕事をしている。見た目より実力。やはり最初の印象通り、駅そばロボットは寡黙な職人だったのだ。

最後にNREのそば担当の刑部秀章さんにお話を聞いた。

「スタート時はコネクテッドロボティクスさんに、そば茹で作業と、フライヤーをお願いしていたんです。しかし同じ揚げ物でも、かき揚げとさといもコロッケでは揚げる時間が違うので、その調節が難しい。スペースの問題もありました」

幕張メッセで見た揚げ物をするコンビニ調理ロボットと、どんぶり食洗ロボットをもってすれば、あっという間に無人化できそうに思えたが……。確かにそれらは相当広いスペースを使っていた。

他店でも駅そばロボットを導入する予定はあるかという質問に、刑部さんはこう答えた。

「実証実験次第ですね。新宿店のように1日2500〜3000人が来店する場所では、難しいと思います。ただ、1時間に約40食と言っていますが、実際は70食くらい可能です」

では、人手不足の解消、味の安定化以外にロボットに置き換えるメリットはあるのだろうか。

「麺を茹でるときはかなり熱い蒸気を浴びますし、冷水で締めるときは、人間はたぼに手を入れて洗うので、かなり手が荒れてしまう。そういった意味でも、ロボット導入は労働環境の改善になると考えています」(刑部さん)

ロボットが客を集めるツールに

オープンした翌々日、私は再度、東小金井駅のそばいちに行ってみた。

オープン3日めもけっこう人が入っていた(筆者撮影)

店員さんに聞くと、ロボットが作っているというニュースを見て訪れる方も多いらしい。常連の方にも「味、全然変わらないね」と言われるそうで、反応は上々だ。

そしてオープン翌日は、開店して8年経つ中で、なんと前年度比約1.5倍の過去最高売り上げを計上したという。ロボットは作るだけでなく、客も呼び寄せるツールとなっている。

人の手の代わりにロボットアーム。人手不足を解消するために、まさに「ロボットの手も借りたい」時代となった。すでにアームロボットは、ものづくりの現場をメインにさまざまな業界で活躍している。飲食業界で活躍するロボットの中に、自分の「推しロボット」が出てくる日も近いかもしれない。

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