政権交代の内幕 上杉隆著
メディア、評論の世界には政権交代への期待派と冷ややか派が混在しているが、本書は前者に近く、半世紀続いた「官僚内閣制」に民主党が終止符を打つだろうという立場から分析と展望を行っている。民主党の議員構成は世評よりバランスがとれていて、若手も小泉チルドレンよりは期待が持てるらしい。族議員や利権官僚が一掃されることで政策追求型政治への道筋が開けるというのだが、これに対する懐疑論はもちろんありうるだろう。しかし永田町を長年、内と外から観察してきた問題意識と主張は十分に説得力がある。
構成はドキュメントタッチの「自民党の完敗と崩壊」に始まり、「政治家と官僚の関係」「小沢一郎論」そして「鳩山由紀夫論」に紙数を割いている。インサイド情報も豊富で一気に読め、新聞やテレビの政治報道にはない切り口が楽しめる。政権交代がマスメディアのあり方を変えるきっかけになるだろうと著者はその点にも期待をかけている。(純)
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