「影の銀行リスク」の監督強化は可能か 李克強首相の全人代記者会見の要旨
[北京 13日 ロイター] - 中国の李克強首相は13日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)閉幕にあたって記者会見を行った。主な発言は以下の通り。
◎改革
今年、重要課題での改革に大きな進展がみられるだろう。今年は行政簡素化、分権化を引き続き推進し、市場の役割を浸透させる。
今年は財政と金融改革に重点を置く。小規模企業に対する減税という新たな措置も含まれる。
◎不動産
需要や地域ごとの状況に違いがあることを前提に、各都市で異なる措置を導入することが必要。
保障性住宅の建設を推進し、これらが平等に供給される状況を確実なものとする。
住宅を購入し居住する需要が妥当な水準になるように、住宅地の供給を増やすなどの適切な支援策を講じる。
投機的な住宅需要を抑制し、不動産市場の安定的で健全な発展を確保するための長期的な仕組みを構築する。
◎中国経済 中国経済は今年、引き続き厳しい試練に直面する。一層複雑な状況が待ち受けている可能性もある。
個人的には財政政策と金融政策を活用する余地には限りがあり、マクロ(経済)の規制という点では、多くの厳しい選択に迫られることは確実だと思う。
「影の銀行(シャドーバンキング)」のリスクについて、われわれは監督を強化しており、新自己資本規制「バーゼルIII」実施のためのタイムテーブルを既に示した。
◎GDP
われわれは(今年の)GDP成長率の目標が約7.5%だと表明している。「約」とはつまり、ある程度の柔軟性があり、ある程度の許容範囲があるということだ。許容できる下限はと言えば、相対的な完全雇用を確実にするGDP(成長率)が必要だ。
われわれには、今年の経済成長率を妥当なレンジに維持する能力とあらゆる手段があると信じる。
成長率と雇用市場の安定だけでなく、インフレ率とリスクの管理も必要。経済の質を向上させ、環境汚染の問題を解決しながら効率を高めることも必要となってくる。これら複数の目標を達成するため、妥当な均衡点を見出すことが必要だ。
今年に一層複雑な要素が控えていることは否定できない。成長率を約7.5%に設定したのは、人々の暮らしを豊かにし、都市と地方で所得を増やすために労働市場の安定を維持することが必要だと考えているからだ。
われわれは数値の背後にある人々の暮らしや、成長の裏側にある雇用により注目している。
容認できる最低限のGDP成長率により、十分な雇用を確保し、所得を増加させることが必要。われわれは、成長率だけを追い求めてはいない。
◎債務 金融商品のデフォルト(債務不履行)を発生させたくはないが、回避が困難なケースもある。監督を強化し、システミックリスクや地方からのリスクが発生しないような形で適宜問題を解決すべき。 われわれは金融部門や債務から来るリスクを注視してきた。政府監査の結果、債務リスクは総じてコントロールされており、債務の国内総生産(GDP)比は、国際的な警戒水準を下回っていることが明らかになった。 ただ、リスクを看過はできない。規制上の取り組みを強化している。
◎貿易
中国製品を推奨し、海外で中国企業の権利と利益を保護することが首相の任務だ。
中国経済はより高い水準に達し、われわれの輸出製品もより高い水準に達するだろう。われわれはいつも靴や靴下、衣服、帽子、おもちゃを売るわけにはいかない。これらは無論必要だが、中国製品は国際競争の試練に耐えることが可能だ。
それでもなお、私は中国企業に対して、最大限の努力をしてほしいと言いたい。私は中国製機器の質の高さを(海外で)約束してきたため、これをほごにしないよう企業に訴えたい。外国人ジャーナリストに監視をお願いしたい。
◎香港
香港とマカオに対する中央政府の政策は一貫しており、明確だ。中央政府は引き続き、国際的な金融、貿易、海運の中心地としての地位の維持と向上に向け、香港を支援する。
◎汚職
汚職行為や腐敗官僚は一切許さない。誰であろうと、地位がどれほど高かろうと、法の前では誰もが平等だ。
われわれは今年、引き続き政府の合理化を進め、政府の権限を委譲する。対象となる権限のリストは可及的速やかに公表する方針だ。権力の行使について明確な境界線を設定し、権力乱用を防ぐ。
◎不明のマレーシア航空370便
これは多くの国が関わる国際的かつ大規模な捜索活動だ。中国政府は関係方面に対し、協力強化や原因究明とともに、できるだけ早期に不明機を発見し、全ての関連問題を適切に処理するよう求めた。
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