新幹線に近鉄…座席で喫煙できる列車が消える 喫煙ルームで一服することは可能だが…
ちなみに、汎用特急に喫煙室の設置が始まった頃から近鉄特急の塗り替えも行われたが、喫煙室の取り付けと塗り替えの順序がバラバラで、近鉄電車好きの間では、「この車両は新塗装に塗り替えたのに、喫煙室がない」など、都度話題にして盛り上がったものだ。喫煙室の設置と塗り替えが終わったのが2019年のことで、先に喫煙室の設置が完了した大阪阿部野橋・吉野間の特急については2016年6月20日から全席禁煙で運用されている。
さて、近鉄の場合では、喫煙室ですら地下区間の大阪難波―大阪上本町間や近鉄奈良・近鉄名古屋といった地下駅、大阪上本町・京都・大阪阿部野橋の停車中にはたばこを吸うことができなくなる。愛煙家から見れば何のための喫煙室か?と考えたくなるが、これは健康増進法という法律の改正が根拠になっている。
健康増進法の改正が契機に
健康増進法は、2018年7月に一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日から全面的に施行されることになっている。望まない受動喫煙の防止を図るというのが趣旨で、たばこの煙で健康被害を及ぼさないように、大勢の人が利用する施設で受動喫煙対策を強化するものだ。
厚生労働省の受動喫煙対策のサイトが詳しいが、改正健康増進法では、鉄道は原則屋内禁煙となり、「喫煙のみの喫煙専用室内」でのみ喫煙が可能となる。これを近鉄のケースに当てはめると、列車内の喫煙室で喫煙が可能だが、地下区間や地下駅・屋根で覆われた駅は屋内の扱いとなるので喫煙ができないということになる。
列車内に喫煙室があるではないか?と不思議に思う人もいるだろうが、駅や地下区間に列車内の喫煙室から排出された煙が出るというので、喫煙室があっても喫煙できない、ということであろう。
JRでは先の新幹線のほか、在来線ではJR四国の特急電車(8000系)や関西空港に向かうJR西日本の「はるか」(281系)で喫煙室を設けたこともあったが、時勢の流れで喫煙室を廃止している。近鉄で「たばこが吸える列車」が喫煙室の形で辛うじて残ったのは、愛煙家の利用が根強くあることが根底にあるようだ。
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