逃亡後のゴーンが明かした日本への「復讐計画」 レバノンでの「忘年会」で知人に語った

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ただし、フランスの検察当局は自らゴーン氏の予備捜査に着手している。これが同氏の起訴に結びつきかねないこともあり、ゴーン氏はフランス司法も警戒している。さらに言えば、彼はフランス人が敬服するようなタイプの人間ではない。そのあからさまな守銭奴ぶりは嫌われている。ゴーン氏は何年も前から、フランスでの納税を避けるため、オランダで納税している。

レバノン富裕層にとっては「英雄」

こうした中、ゴーン氏は「祖国」と呼べる国を選択した。それがレバノンで、彼の人格の最重要部分を占める国だ。レバノンの人口は600万人ほどだが(公式の人口集計といったものは事実上存在していない)、そのうち100万人以上が難民である。

ベイルートにあるゴーン氏の自宅と見られる家(写真:REUTERS/Mohamed Azakir)

が、この国を出た人の数はざっと1500万人に上る。国内での成功は望めないため、有能なレバノン人はほとんど国外へ出て行くのだ。中にはとてつもない成功を収める人もいる。ゴーン氏はこうしたレバノン国外移住者の“王”とも言える人物で、レバノンの富裕層にとっては英雄だ。

実際、首都ベイルートでは、ゴーン氏は国外放浪から舞い戻った英雄として扱われている。「ゴーン氏が日本を脱出したことに不満を持つレバノン人には1人として出会っていない。彼が日本の司法にいかに恥辱を与えられたか、大半のレバノン人は怒りを覚えているのだ」と、ベイルートで活動するレバノン人弁護士は話す。

とはいえ、ゴーン氏がレバノン国外へ出ることは難しいだろう。「日本はおそらく国際逮捕状を要求するだろう。そうすれば彼は逮捕され、ブラジルかフランス以外に向けてレバノンを離れる際には、日本へと移送されかねない。一方、フランスはルノー関連の告発とは別にゴーン氏を告訴する可能性があり、ゴーン氏がフランスを目指すことも考え難い」と、フランス人弁護士アレクシス・ワール氏は言う。

つまり、「世界人」だったゴーン氏は残りの人生を1つの国、レバノンで過ごすことになるわけだ。果たして同氏はこの国で生涯幸せに暮らせるのだろうか。

一方、レバノンはゴーン氏を受け入れることで、その評判を一層下げることになるのは避けられない。「レバノンはすでに悪人であふれかえっている。これ以上いらないのに」と、あるレバノン人ジャーナリストは話す。

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