「チャンギ空港」で27時間遊び尽くしてみた 「世界一の空港」の実力を思い知った

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チャンギ空港を昨年利用した搭乗客は6560万人以上で、業界団体の国際空港評議会(ACI)の最新レポートによると、旅客と貨物の輸送量、航空機の発着数で世界のトップ20に入る。利用者が多いだけではない。ロンドンの航空サービス調査会社スカイトラックスのランキングでは、過去7年間、利用者が選ぶ空港のナンバー1に君臨している。

チャンギ空港は今年、旅行者だけでなく地元の人々もアクセスできる大型複合施設「ジュエル」をオープンした。

ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に今年、インフィニティプールや展望台を備えたTWAホテルがオープンするなど、高級なショッピングや食事以外も楽しめる空港は増えている。しかし、チャンギ空港ほど既成概念の枠を超えた場所はない。

ジュエルはその最新の例で、お洒落なレストランやショップ、バーはもちろん、目を見張る庭園や、ウィリー・ウォンカのチョコレート工場にあってもおかしくない不思議なものもある。鮮やかな花で作られた動物、地面から霧が立ち上る子どもの遊び場、足元がガラスの橋、花が咲いた生け垣の迷路──。

ターミナル3のトランジットエリア(写真:Lauryn Ishak/The New York Times)

空港自体がエネルギッシュな目的地の場合、旅行者はどんな体験をするのだろう? それを確かめるため、私はホテル「クラウンプラザ・チャンギエアポート」にチェックインした(スカイトラックスによると、同ホテルは5年連続で世界最高のエアポートホテルに選ばれている)。

クラウンプラザに到着したのは午前7時。ターミナルにいながらトロピカルリゾートの雰囲気を味わえるので、あえてこの時間にした。屋外プールにラウンジチェア、ウッドデッキ、ヤシの木。一部の客室からは直接プールに泳いで行くことができる。水面に光が反射するプールの脇の通路はオープンエアになっていて、シンガポールらしい暑さを感じる。

ファンタジーとディストピアが紙一重のワンダーランド

ホテルはジュエルにつながる橋に隣接しているため、チャンギの最新スポットまで歩いて行くことができる(滝を間近に見ることのできる「スカイトレイン」には乗る価値があるが)。

私たちは午前に到着するフライトだったため、待つことがないようアーリーチェックインを申し込んでいた(追加料金は160シンガポールドル[約1万3000円])。

荷物を広げてから、ジュエルに向かった。モシェ・サフディが設計し、『アーキテクチュラル・ダイジェスト』誌で「神秘的な楽園」のようだと評されている。

高い木々と青々とした低木に囲まれた展望台に立ち、建物の中を流れる滝を眺めれば、魅了されない人はいないだろう。私はその独創性、スケール、美しさに驚嘆した。バックパックやスーツケースを持った人々が、滝の前で立ち止まり撮影をしていた。滝の水に太陽の光が差すと、虹まで現れた。

しかし、ワンダーランドはどこもそうだが、ファンタジーとディストピアは紙一重だ。周囲を見渡せば、温度管理された永遠に夏のドーム型都市に人々が暮らす未来を想像するのは難くない。

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