新幹線の車掌さん、「英語放送」ただいま特訓中 「あなたの英語は勇気が出る」と、乗客も激励

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肉声による英語放送が始まってまだ1年。今は過渡期だ。だが、最初は短い英文しか話さなかったが、次第に複数の情報をつなげて長い英文を話す乗務員が増えてきたという。また、英語力にかかわらず翻訳アプリを操作するよりも肉声で話すほうがタイムリーに情報を伝えられると考える乗務員も増えてきたという。

ミーティングで英語アナウンスについて話し合う乗務員たち(撮影:梅谷秀司)

乗務員が英語に慣れ、英語力が向上すれば、将来の非常時に自動放送ではなく、肉声で臨機応変に英語アナウンスを行うようになるだろう。外国人の乗客にとってはそのほうが安心に違いない。

アナウンスだけでなく車内での接客についても「日本人も外国人も同じお客様。情報を区別してはいけない」と大橋さんは話す。英語が通じないから説明を省くようなことはないように心がけているという。

安井さんは、「英語が不慣れな分、気持ちで伝えたい」。どんな質問でも全力で聞くので遠慮なしに質問してほしいという姿勢で臨めば、その気持ちは相手にも伝わるのだという。

将来は航空会社のCA(客室乗務員)のように、全乗務員が英語をぺらぺらと話すのが当たり前という時代になっているかもしれない。

車掌の英語、どんな例が?

【新幹線車内放送 英文文例集】
自由席は○○号車です
Non-reserved seats are from car ○○.
ドア付近にお立ちのお客様、閉まるドアにご注意ください
Doors closing. Please be careful.
お乗り間違いないようご注意ください
Please be careful not to take the wrong train.
お忘れ物のないようお手回り品をお確かめください
Please be sure to take all your belongings with you.
ご利用いただいた座席のリクライニングは元の位置に戻していただきますようご協力をお願いします
Please return your seat to its upright position.
強風のため速度を落として運転しています
Trains are operating at slower speeds due to strong winds.
お待たせしました。まもなく運転を再開します
Thank you for waiting. We will resume operations shortly.
本記事は週刊東洋経済9月7日号に掲載した記事「新幹線で始まった英語アナウンスの舞台裏 車掌さん、懸命の英語習得レッスン」を再構成して掲載しています。
大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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