母娘を6年間引き裂いた衝撃の「誘拐犯」の正体 火災で「死亡した」はずの娘をさらったのは…
途方にくれるルースが町を歩いていたとき、目に留まったのは選挙活動中の州議会議員、エンジェル・クルーズだった。「自分を助けてほしい。私の話を信じてくれないか」。直談判を試みたルースの情熱に、同じヒスパニック系のルーツを持つ州議員の心が動いた。娘を失ってから6年……。ルースにとって初めて、自分の話を信じてくれた人物が現れた。
クルーズ議員はすぐに検察へ“事件”の再捜査を依頼する。そしてついに、警察がデリマール捜索に動き出した。
絶対に諦めなかった母の執念が生んだ奇跡
「私の30年の経験の中で、最も難しく、最も記憶に残る事件でした」。そう語るのは、地元警察の元捜査官、マイケル・ボイル。「精神的におかしくなってしまった母親」として、警察にも知られていたルースの話を最初に聞いた一人だ。
「私はあの火災を覚えていました。ルースの話には説得力があり、非常に引きつけられるものでした」
警察による6年前の火災の再検証が始まり、さまざまな事実が明らかになった。
見つからなかったデリマールの遺体。火災はわずか14分で鎮火しており、乳児といえども骨まで燃え尽きることはありえない。
そして、消防士が運び出した、あの“遺体”の正体は、カーペットが燃え尽きて固まったもの。
小さく固まったカーペットの残骸を消防士が“遺体”と勘違いし、運び出す様子がカメラに捉えられたのだった。
そしてついに、捜査の手はキャロリンのもとへ伸びる。キャロリンと娘・アリーヤの口内の粘膜を採取し、DNA型鑑定を行うのだ。しかし、ここでもキャロリンの妨害工作が立ちはだかる。採取の直前、捜査員の目の届かないところで、アリーヤの口に薄めた漂白剤をスプレーしたのだ。結局、アリーヤがこの事実を捜査員に話したため、翌日に再びDNAの採取が行われた。
このDNA型鑑定の結果、キャロリンとアリーヤには親子関係がないことが証明され、「キャロリンが少女を誘拐した」と断定された。
そして、ルースとアリーヤの鑑定結果が告げられる……。
「あの少女はデリマールです。あなたは正しかった」
ルースの目から涙があふれ、止まらなかった。
誰からも信じてもらえず、周囲から心を病んでいると言われ続けた母が、自分を信じ、闘い続けた6年3カ月……。わずか生後10日で、生き別れた娘を、ようやく自分の腕の中に取り戻した瞬間だった……。
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