【産業天気図・人材サービス】景気急減速で製造業中心に空前の「派遣切り」が勃発、一転「雨」降りに
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
人材サービス産業の天気は前回(9月)の「曇り」予想から悪化、2008年度後半は「雨」、この雨模様は少なくとも09年前半まで続きそうだ。景気後退で製造業中心に「派遣切り」が広がってきている。
ちょうど一年前までは、東名阪など大都市部を中心に事務派遣から製造派遣まで需給逼迫状態が続いており、各社とも派遣社員の確保には苦労しており、客先の需要には陰りはまるで見えなかった。08年度前半に入っても不透明感こそ増したが、それでも各社固めにみていた計画線は問題なく達成してきた。
ところが、08年の秋口に入ると、米国発の金融危機が実体経済へと波及。米国を主力市場とする自動車大手各社が大幅減額、減産を発表するに至った。それと同時に、派遣社員など非正規雇用にも大ナタを振るった。「派遣切り」の嵐は自動車産業から始まり、ソニーが8000人の派遣・請負社員の削減を発表するなど電気や他産業でも同様の動きが急速に進んでいる。厚生労働省の調査によれば、08年10月~09年3月までに約3万人の非正規雇用労働者が雇い止めや中途解約をされ、職を失う見通しだ。
こうした情勢の直撃を受けたのが、製造派遣の各社だ。半導体向け派遣のユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス<2146>は客先の生産調整が響き、09年3月期は会社計画は未達の見通し。アウトソーシング<2427>、日本マニュファクチャリングサービス<2162>も期初計画の大幅減額を発表した。
事務派遣も厳しい。成長の牽引役だった金融や自動車向けが軒並み大幅減。社会保険の負担増も響き、大手のパソナグループ<2168>、テンプホールディング<2181>とも低調に推移している。メーカーの研究開発部門への技術者派遣はまだ急激な落ち込みは見えないが、先行き不安は強く、最大手のメイテック<9744>は今期小幅増益予想から一転、前期比8%弱の減益となる見通しだ。
(風間 直樹)
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