【産業天気図・家電・AV】国内外消費低迷で「雨」、大型リストラなど構造改革相次ぐ
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
北米を中心にした世界的消費低迷の進行を受け、家電・AV業界は2008年度後半、09年度前半とも「曇り」から「雨」に見通しが悪化している。エレクトロニクス事業の悪化で今09年3月期の業績予想を大幅下方修正したソニー<6758>は、人員削減を柱としたリストラ策を発表したが、同業他社も設備投資の急縮小など構造改革に乗り出しそうだ。
財務省輸出貿易統計によると、薄型テレビやカーオーディオなど民生用電子機器の輸出額は10月、前年同月比15.1%減の1575億円だった。電子部品も同13.8%減で、海外生産の低調が影響しているとみられる。また国内でも同月の民生用電子機器出荷額は2259億円と同9.2%減。前年同月割れは1年5カ月ぶりだ。
業界は国内外の消費低迷は長期化すると警戒しており、各社が取り組む構造改革プランも足下のみならず中期的な収益構造改善を目指すものになる。ソニーは国内外の製造拠点57カ所のうち1割を閉鎖するとともに、ノンコア・不採算事業の縮小撤退を進める。これらの施策で10年3月末までに正社員8000人など1万6000人の人員削減と、年1000億円の費用削減につなげる計画。業績の本格回復は、11年3月期になりそうだ。
車載オーディオの不調などで同様に業績を下方修正したパナソニック<6752>も、構造改革費用を09年3月期に計上する。来10年3月期に500億円の費用削減効果が出る見通しだが、「来期の見通しは厳しい」(上野山実取締役)とも認識を示している。投資面でも、三洋電機<6764>の買収を目指す中、液晶パネル新工場(兵庫県姫路、10年1月稼働)の第1期投資などには慎重な検討を加えているようだ。シャープ<6753>も中小型の液晶パネルを生産する2工場の旧式ラインを閉鎖、主力の亀山工場(三重県)に集約する計画だ。
一方、これら首位群メーカーに先んじて生産合理化を進めていたパイオニア<6773>、JVC・ケンウッド<6632>は、合理化後も業績回復の展望が乏しそう。今後は生産撤退からさらに踏みこんだ、事業そのものからの撤退を図る可能性も否定できず、今後1~2年は業界各社とも、業績面に大きな変化が想定される。
(杉本 りうこ)
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