「上智×ANA×海外大」の連携講義がスゴい 2週間の講義で学生の将来が変わることも

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ターゲット層の嗜好や傾向、日本のインバウンド誘致のエリア選定やコストなど、きちんとしたリサーチデータに基づいた解説、そして学生独自の視点からの提言に、講評者側もメモを取りつつ熱心に聞き入り、質問も多く出された。

「新しい視点や鋭い指摘がされ、とても良いプレゼンテーションだった」と最後に網倉教授からの講評を受け、緊張していた学生たちの表情も和らぐ。この後、学生たちは、出された質問への回答を盛り込んだ最終レポートを作成し、各大学で評価され、単位認定されることになる。

ANA社員、経団連職員など、”働く大人”がずらりと居並ぶ中で、英語で堂々とプレゼンテーション

学生の未来が変わる可能性

今回参加した上智大学の3年生男子学生は、プレゼンでは流暢な英語を披露していたが、香港中文大学の学生との議論においては苦労したと語る。

「お互いに第一言語ではない英語で(香港中文大学の学生は中国本土からの留学生も多かった)、しかも異なる文化を前提にやりとりするには、必ず言葉の定義や話の方向性を確認して進めていく必要がありました。コミュニケーションすることは難しいことなんだと初めて感じました」

そして、昨年この講義に参加し、すでに就職活動を終えている4年生男子学生のコメントが、この講義の意義を示唆している。

「香港の学生は頭の回転が早く、世界を見る視点も日本の学生とは違っていました。海外の同年代のレベルは想像以上に高いとショックを受けましたが、将来はこういう人たちと一緒に仕事をしていくのだと実感しました」

この男子学生にとってさらに決定的だったのが、香港で聞いた投資家の言葉だった。「会社はお金を稼ぐ場ではなく、自分を成長させてくれる場として選ぶべきだ」という言葉に感銘を受け、それまでの志望先を変更したという。結果として、その後の就職活動で「納得できる結果が得られました」と話してくれた。

2週間の真剣議論を経て、学生同士の仲もグッと縮まる。 最終プレゼンテーションの後の打ち上げは、大変に盛り上がったという

デジタル化が著しく進んだ現代では、世界中の現場で起きていることをリアルタイムで見聞きしたり、最先端の理論を学んだりすることはそれほど難しくない。その一方で、学生がグローバルな場で主体的に議論に参加し、自らと異なる視点や考えを受け入れるような体験をし、その結果、気づきを得るという場は非常に限られている。

その意味で、上智大学×経団連×香港中文大学の連携講義は、学生たちの未来を変えてしまうほど強烈であり、グローバル人材への第一歩としては十分すぎるほどの体験を提供しているようだ。