「上智×ANA×海外大」の連携講義がスゴい 2週間の講義で学生の将来が変わることも

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この講義が学生に与える影響について網倉教授はこう語る。

「就職活動以外で学生が“働く大人”と接する機会は、実は非常に少ない。“働く大人”から直接話を聞いたり、問題への解決策を一緒に考えたり、あるいは食事をしながら仕事への情熱や難しさを教えてもらうことは、学生にとってキャリアを考える何よりの機会になります。また、国籍や文化の異なる人とチームを組み、英語で議論をしてアウトプットを出すというスキルは、今後のグローバル化が進む社会では不可欠です。この講義は、学生たちがその縮図を体感できる貴重な機会なのです」

言い換えれば、社会の厳しさを経験しつつ、グローバルビジネスの現場で求められる素養を体験的に学べる貴重な2週間となる。

ANAによる「インバウンド誘致」という課題

では、具体的に学生たちはどのような課題に取り組むのか。

今年は、ANAグループ(以下、ANA)が全面的に協力。学生たちに与えられたのは、「インバウンドの観光客を日本に誘致する策を考え、また地元経済に生かしていくにはどうすべきか」という時事を如実に反映した課題だった。

プログラムの最初の1週間は、香港が舞台となる。初日に3チームの両大混成メンバーと課題が発表され、グループワークがスタート。ANA香港支店の担当者をはじめ、香港中文大学教員、カンタス航空のアジア地域責任者やマカオ観光局担当者による事業戦略などの講義や、現地の観光名所の実地調査を通じて、学びを深めていく。

ANAの機体工場で、同社社員の説明を熱心に聞き入る学生たち。 この後、運行管理センターなどを見学した

その後、日本のお盆休みを挟み、今度は東京での1週間。上智大学経済学部のアダム・ジョンズ准教授が地域ブランディングに関する講義を行ったほか、羽田空港内にあるANA機体工場やANAの事務所がある羽田空港第2旅客ターミナルを見学した。実体験で多くの学びを得た学生たちは、さらにグループワークにも力が入り、教員やANA社員のアドバイスを受けながら各チーム独自の資料を集めていった。

そして最終日、3チームはANA、経団連、教授陣、過去の参加者などを前に発表の場を迎えた。

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