JR東海vs.静岡県、「因縁の15年バトル」の行方

過去には「通過税」騒動、今はリニアが争点に

静岡県牧之原市にある富士山静岡空港。高速道路を使うと、東海道新幹線の静岡駅まで約40分、浜松駅まで約50分かかる。空港の真下を新幹線が通る地の利は活かせていない。(写真:KOHEI 41/PIXTA)

交通の要衝、静岡県には「富士山静岡空港」もある。2009年開港という比較的歴史の浅い空港だ。国内便は全日本空輸などが就航して新千歳や福岡など4都市と、国際便はソウル、上海、台北など6都市と結ばれている。2016年度の搭乗者数は61万人。開港初年度で138万人という需要予測とはあまりにも懸け離れている。ただ、最近は国際線が好調で、搭乗者数は少しずつだが増加基調にある。

この空港は静岡駅と掛川駅の間に位置し、空港の真下を東海道新幹線が通っている。空港のすぐそばに新幹線新駅を造って東京と結び、羽田、成田両空港に次ぐ「第3の首都圏空港」としての役割を持たせたい。そう考えた県は空港建設の基本構想策定段階から新駅設置を要望に入れていた。

しかし、JR東海は「新駅は掛川駅と近く、十分な加速ができない区間となってしまう」として、否定的な態度に終始した。当時の報道によると、「JR東海は航空機に乗客を取られるので駅を造らない」という県側の発言に対し、JR東海首脳が、「静岡空港にどんな飛行機が来るのか知りたい」と皮肉たっぷりに応じたという。

リニア工事をめぐり再びバトル勃発

現在各所で建設工事が進むリニア中央新幹線。その東京(品川)―名古屋間は山梨、長野、岐阜の各県を通るルートが中心となり、静岡県は県北部にある南アルプスの約10kmをかすめるのみ。全区間がトンネルで、駅も設置されない。

静岡県は2011年からJR東海に対して、リニア工事におかける環境への配慮を求めてきた。写真は、2014年10月、JR東海の柘植康英社長(右)が静岡県の川勝平太知事(左)を訪問した時のもの(写真:共同通信社)

そのリニア工事に関し、昨年10月、川勝平太知事がJR東海に抗議した。トンネル工事の際、湧き水が出るため、大井川の流量減少が懸念されるというのが県の主張だ。県は2011年からJR東海に対してトンネル湧き水の全量を大井川に戻すことを求めてきたが、6年経ってもJR東海から誠意ある回答がないという。「静岡県がおとなしいのをいいことに(JR東海は)傲慢な態度を取り続けた」「堪忍袋の緒が切れた」など、川勝知事は強い口調で批判した。

JR東海側は、「県を通じて利水者との協定文案を詰め、締結間際だった」として、川勝知事の発言をいぶかりつつも、「導水路トンネルを設置し湧き水のポンプアップなども行い、大井川中下流域の水資源利用への影響を回避する」と説明する。

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