東芝社長「テレビは下期黒字化を狙う」 東芝・田中久雄社長インタビュー

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原発事業者ニュージェン株式、年内にも取得に意欲

一方、スペインの電力大手イベルドローラと交渉している、英国で原子力発電所計画を進める事業会社ニュージェンの株式取得について、田中社長は過半数以上を取りたいとの意向を明らかにした。東芝は傘下の米ウェスチングハウス(WH)を通じて交渉しており、「年内には決めたい」として、今年中の合意を目指す考えを示した。

ニュージェンはイベルドローラと仏電力大手GDFスエズの合弁会社。英北西部にある海岸沿いのセラフィールドに発電能力3.6ギガワットの原発建設を計画しており、建設用地も取得している。東芝とWHは通常、発電所建設のみを受注するが、今回は原発事業者に初めて出資することになる。日立製作所<6501.T> も昨年、英国の原発事業者ホライズンを買収している。

また、フィンランドの原発事業会社フェンノボイマが同国北部に建設する原発に関しては、大型炉建設での優先交渉権が「まだ残っている」という。同案件をめぐっては、フェンボイマが7月に中型炉への変更を検討して発注候補先をロシアのロスアトムに絞り込み、東芝との協議を打ち切ったとしていた。

このほかフィンランド産業電力(TVO)からの受注も目指しており、同国での原発受注に期待を寄せた。TVOが新設する同国北西部のオルキルオト原発4号機新設は日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合、三菱重工業<7011.T>、仏アレバ、韓国企業が1月に入札。15年半ばにも落札企業が決定する。

東芝は福島第1原発事故後の新規受注がまだないが、17年度までに29基の新規受注を計画。英国、フィンランド、チェコ、インド、中近東、中国などでの受注活動を強化している。田中社長は「世界的な流れを見ると、少しずつだが原子力の重要性は増している」と指摘。先行きは「悲観していない」と述べ、目標達成に意欲を示した。

(白木真紀、村井令二、ソフィ―・ナイト;編集 山川薫)

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