大塚食品「ボンカレー50周年」で仕掛ける戦略 他社とのコラボ企画を積極的に推進
味の多様化とともに、カレーの嗜好変化としてキーワードとなっているのが「簡便化」だ。カレールーの市場は縮小ぎみなのに対し、レトルトカレーは拡大しているのもそのため。大きな背景としては女性の社会進出、核家族化の流れがあり、中食市場が拡大し、個食タイプの食品が伸びている。
そもそも温めるだけで食べられる元祖ボンカレーこそが、時代を大きく先取りした商品だったはず。しかし今ではさらに先を行っている。多くの商品が、パッケージのまま電子レンジ調理可能となっているのだ。しかも、調理時間も1分半~2分程度、温めるための器やお湯を用意する必要がないから、カップラーメンよりも手軽になった。
ボンカレーブランドで箱ごと調理が可能となったのはボンカレーゴールドが最初で、2013年から。現在は沖縄限定のものを除くすべての商品でこの技術を取り入れている。
そのほか、近年の食品のキーワードとして注目されているのが、美容・健康志向だ。特にカレーは糖質・脂質ともに高いので、ダイエットには不向きな食品。ただ、たとえば低糖質・低カロリーのボンカレーが出てくることは今のところなさそうだ。
「健康への意識が年々高くなっているのは感じていますが、ボンカレーに期待されていることとは違うのかなと。健康志向に対しては、1食100kcalの『マイサイズシリーズ』で対応しています」(金子氏)
コラボ企画を積極的に行っていく
なおボンカレー50周年に際し、こちらは30周年を迎えたカップ麺「スーパーカップ」(エースコック)とのコラボ商品も発売された。ボンカレーゴールド中辛風のカレーうどんと、ボンカレーゴールド辛口風のカレーラーメン(各200円)だ。ロングセラーブランド同士のコラボは両者にとって話題作りという意味も大きいが、ボンカレー側では、カップ麺とのコラボで若年層を取り込みたいという狙いもあるようだ。
松山容子さんを起用し“日本の新しいお母さん像”をアピールした発売当初のCMや、「大五郎3分待つのだぞ」のコピーが大受けした「子連れ狼」CM、王貞治選手を起用したボンカレーゴールドのCMなど、過去はテレビCM戦略が目立ってきたボンカレー。
しかし近年ではテレビCMからは撤退。50周年のインフォメーションとしても、店頭やウェブサイトでのイベント企画、ほかのブランドやキャラクターとのコラボレーションなどを積極的に行っていく。1月22日には、手塚治虫のマンガ『ブラック・ジャック』とのコラボで新聞広告を発表した。
1月24日からは、農耕機具メーカーのクボタとの共催で、日本米とボンカレーをアピールするキャンペーンを開始した。
こうした戦略によってブランド力を最大限活用し、ロングセラーを守り続けようとする方針がうかがえる。
なお1月22日に開催された記者発表時の戸部貞信社長のあいさつによると、次の50年では海外戦略も視野に入れているという。中国では関連会社の上海大塚食品を通じ、15年前からレトルト食品の生産販売を開始している。
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