グローバル化は止まらない--オーミッド・コーデスタニ グーグル上級副社長・業務開発兼国際営業担当
--海外売上高比率が4~6月期に52%(前年同期は48%)になった。
グーグルのグローバル化はまだ始まりにすぎない。私が最初にこの仕事に就いたとき、海外売上高はゼロ。10年で50%を超えるほどになったが、伸びる余地はまだ十分にある。理想は、国別売り上げ比率が国別ユーザー数比率と同じになること。経済規模が小さい国もあるため、完全比例は難しいだろうが。
--特に伸びている国は。
米国も引き続き好調だが、欧州では英国やドイツ、フランスなどが今後も伸びていくだろう。アジアでは日本、それから中国にも期待している。大切なのは、単に各国にセールス拠点を置くだけでなく、開発拠点としても機能させることだ。
グーグルのユーザー、売上高、すべてのサービス利用の半数は米国外から来ており、すごい勢いでセールスや開発拠点を世界中に広げている。今や半数以上の従業員は米国外にいる。グーグル・マップスは米国のマウンテンビューやニューヨーク、オーストラリアや日本の開発者が一体となって開発しているが、米国外のエンジニアが開発しているサービスも数多くある。
--グローバル化で重要なことは。
まずは各市場で最も優秀なエンジニアや人材を確保すること。それから、検索や各サービスの使い勝手やインターフェース、機能など各市場に合わせてキメ細かく詰めていく。単にサービスを翻訳すればいいというわけではなく、各国に合わせたコンテンツ開発が重要だ。たとえば、日本のマップスは乗り換え機能など他国にはないものがあるが、こうしたサービスの開発には現地のエンジニアが欠かせない。
--どのように人材を引き付ける?
イノベーションを促すような職場環境を作ることだ。たとえばGメールのように、すばらしいアイデアをサービスにできれば、世界中の人に使ってもらえる。これはエンジニアにとっては何よりうれしいことだ。それから、グーグルのビジネスモデルは非常に安定的で、コアビジネスで稼いでいる分、新たなプロジェクトに投資できるし、M&Aなどもしやすい。これも強みだ。
--グーグルにとって日本市場の位置づけは。
とても重要な市場だ。経済も発展しているし、技術革新も圧倒的に進んでいる点で特別。長期的にも力を入れていく市場だ。ただ、われわれは日本ではまだスタートアップのようなもの。検索だけでなく、ネット分野でナンバーワンのサービスになれるまで努力を続ける。開発拠点としてはどんどん成長し続けているが、エンジニアだけでなく、セールスやリサーチャーといった人材も強化していきたい。
--日本での成功の基準は。
いろいろな基準がある。たとえば、米国では『フォーチュン』誌で「最も働きやすい会社」に選ばれているし、欧州でも似たような賞を獲得した。だから、日本でもまずは、働きがいのある、イノベーティブな企業として認識されたい。サービスに関して言えば、提供するすべてのサービスでシェアを広げ、日本の市場規模に見合った売り上げを確保できるようにしたい。
--ヤフー・ジャパンの成功理由の1つは地元の証券取引所に上場した点にある。グーグル・ジャパンのIPOはあるか。
確かにヤフー・ジャパンはグーグル・ジャパンよりずっと大きいし、われわれも彼らのように成長したい。ただ、それと上場は話が別だ。われわれにとってはすべての海外拠点を合わせて1つの会社というモデルが望ましい。
--日本だけでなく、中国や韓国でも2位以下に甘んじている。
ネットでのサービスの利用方法が少し違うということもあって、チャレンジングなのは確か。たとえば、韓国はユーザー同士で疑問に対する答えや知識、情報を共有するサイトが人気だし、中国では音楽検索の需要が高い。各国とも検索へのアプローチの仕方が異なるので、まずはその特徴を理解して、現地の開発者の手によって工夫を加えることに力を入れている。
--中国でシェアを上げたいなら、いっそ百度を買収しては。
彼らは単独でも十分成功しているから(笑)。われわれはどの市場でも長期的なスタンスを基本としている。だから、(買収などで)簡単にシェアを上げようとはせず、どうしたら各市場で成功できるか、より長期的な戦略を考えている。
Omid Kordestani
スタンフォード大学でMBA取得。ネットスケープコミュニケーションズで業務開発や営業担当副社長などを経て、99年5月にグーグル入社、事業開発担当者として世界中を飛び回る。
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