東レ子会社、品質データ不正書き換えを発表 問題が発覚したのは2016年7月

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 11月28日、子会社で検査データを書き換える不正が発覚した東レの日覚昭広社長は、記者会見を開き、「このような事態を招いてしまったことは誠に遺憾で、関係者の皆様にご迷惑・ご心配をおかけしたことを深くお詫びする」と陳謝した。東レのロゴ。都内同社本社で撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

[東京 28日 ロイター] - 子会社で検査データを書き換える不正が発覚した東レ<3402.T>の日覚昭広社長は28日、記者会見を開き、「このような事態を招いてしまったことは誠に遺憾で、関係者の皆様にご迷惑・ご心配をおかけしたことを深くお詫びする」と陳謝した。ただ、書き換え後の数字については測定誤差や品質性能のバラつきなどを踏まえれば「全然問題のない数字だ」とも語り、安全性に問題がないことを強調した。

東レハイブリッドコード(THC)は同日、タイヤコードや自動車用ホース・ベルト用コードなどで、検査データを書き換える不正があったと発表した。製品を納入する際の品質検査で、顧客と取り決めた規格から外れたデータ数値を規格内に書き換えていたという。

書き換え件数は149件、対象顧客は13社。大半が日本企業だが、一部に韓国企業も含まれるという。米国企業は含まれていない。

東レでは、規格外となった書き換え製品について、規格値からのかい離はごくわずかであり、規格内製品と実質的な差はないと説明。書き換えが原因で顧客に被害が発生した場合には、真摯かつ迅速に対応するとしている。

対象製品の売上高は約1.5億円。不正発覚を受け、キャンセルなどは発生していない。日覚社長は業績への影響について「(調査結果は)ほとんどは問題ないとなると思うが、たとえ問題があったとしても、それほど大きな額にはならない」と述べ、影響はないとの認識を示した。

不正な書き換えは2008年4月から2016年7月まで行われ、16年7月に問題が発覚した。その後、社内で調査を進めていたが、今年11月3日にネットにこの問題が書き込まれたことで、公表に踏み切った。

日覚社長は神戸製鋼所<5406.T>の品質不正問題やネットの書き込みがなれば公表しなかったのかと問われると「公表する予定はなかった」と説明。「法令違反や安全上問題がある、それが社会的に影響を及ぼすといった場合には公表するが、(今回の問題は)お客様との間の取り決めなので公表する必要はない」と強調した。

不正発覚を受けて、東レはグループの品質データ関連の担当者6674人を対象に調査を実施。不正が懸念される事案が893件寄せられたが、その後確認が進み、現在137件について内容を精査しているという。現時点で法令違反や安全性に影響するような不正は見つかっていない。

同社は米航空機大手ボーイング<BA.N>やファーストリテイリング<9983.T>と取引関係にあるが、両社への不正製品の出荷はないという。

東レは問題が判明した16年7月以降、書き換えを実行した品質保証室長の交代や品質保証室の品質保証部への組織変更などを実施。16年8月以降は品質データの書き換えは行われていない。

また、検査成績書作成フローの見直し等に着手しているほか、16年10月から、THC社の品質保証体制を改めているという。

日覚社長は自らの経営責任について「これら(不正)の及ぼす結果や(調査)内容がすべて決まり次第、検討する」と明言を避けた。

東レは外部の有識者も入れた調査委員会を設置、年度内に原因究明や再発防止策に関する報告書をまとめる予定。

*写真を差し替えて再送します。

(志田義寧 清水律子 浜田健太郎)

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