あのゴディバをコンビニでよく見掛ける理由

気軽な場所で求められるラグジュアリー体験

「2010年代に入り、時代の変化とともに日本人のライフスタイルが変わり、人々は気軽にいろいろな場所で小さな『ラグジュアリー体験』を求めるようになりました。ラグジュアリーはこれまでのチャネルだけで実現されるものではありません。仕事が終わった帰り、夜遅くても深夜でも、わざわざ遠くまで出掛けなくても、オフィスや家の近くでゴディバに出合えれば、幸せになっていただけるのです。私たちはお客さま目線でアクセシブルなラグジュアリーを提供しています」

ゴディバは日本で45年、直営の路面店舗や、百貨店、ショッピングセンター、高級ホテル内の店舗を中心に販売を続けてきた。その体制を変えることに対し、やはりブランドイメージを心配する声も社内にあったという。ただ、それは少数意見で、大多数が賛成意見だった。

過去にとらわれず、「今」の消費者の気持ちを優先した。結果、コンビニエンスストアでの商品展開は、大きな共感を呼び、2011年以降現在に至るまで、コンビニでの売り上げは年々アップし続けている。

コンビニ販売の影響で、既存店の客足が遠のくことはないのか。この疑問にシュシャン氏はこう答える。「相乗効果が得られています。コンビニでカップアイスを買ったのをきっかけに、ゴディバがアイスクリームを販売しているのを知り、百貨店やショッピングセンターの店舗にも足を運ぶようになったというお客さまの声があります。ゴディバに親しみを持ってくれる人が増えたのです」

既存店の2010~2016年の売り上げ推移は、毎年平均17.6%アップしている。つまりコンビニ展開が既存ビジネスを毀損していないことになる。ゴディバの日本市場は右肩上がりに成長を続け、2017年には、ついに世界のゴディバの中で、日本は最大のマーケットとなった。ブランドイメージを損なわず、好調に推移する売り上げとユニークな戦略はグローバルに注目を集め、2017年1月、ハーバードビジネススクールが「ゴディバ・ジャパンケース」を研究し、授業に採用している。

高級感とクオリティは妥協しない

コンビニのバレンタインチョコレートにはロゴ入り紙袋がつく

ゴディバのコンビニ展開にあたり、シュシャン氏には絶対に譲らない強いこだわりもある。その象徴が、バレンタインチョコレートに別添えされる、ショップのロゴ入り紙袋だ。

2011年、セブン-イレブンでバレンタイン・ホワイトデー限定チョコレートを販売する際に、シュシャン氏は、ゴディバのロゴ入紙袋を購入者全員に渡すことを、絶対の条件にした。

ゴディバのアイスバーはロゴ入り。11月にも新商品がコンビニで発売予定

「ゴディバをギフトにするにはコンビニの袋ではなく、ロゴ入りの紙袋が不可欠」と考えたからだ。当時はコンビニのバレンタイン商品に、ブランドのロゴ入りの袋を別添えするのは異例だった。これを最初に実現させたのは、シュシャン氏である。

また、チョコレートアイスバーのバーに、ロゴの焼き印をつけたのもシュシャン氏のアイデアだ。「ロゴがあるのとないのとではまったく印象が変わります。この部分を撮影したSNS投稿もよく見られますよ」(シュシャン氏)

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