安倍改造内閣、「反対勢力分断」も「やぶ蛇」か 岸田氏重用、石破氏孤立も「総裁3選」不透明に

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首相は衆院解散については「全く白紙だ」と述べた。これは首相の常套句だが、党内では「早期改憲実現のためには衆院での改憲勢力3分の2が前提となり、それが首相の解散権を縛る形になってきたが、その前提が変わればいつでも解散ができる」(自民幹部)との受け止めが大勢だ。

9月1日の代表選実施を決めた野党第1党の民進党も早期解散への怯えを隠さない。人事に当たっての自公党首会談で首相と協議した山口那津男公明党代表は「来年秋という相場観は変わった。常在戦場だ」と明言した。永田町では9月下旬に召集予定の臨時国会冒頭で解散し、衆院2補選が予定された10月22日を投開票日とするという「秋口解散説」もささやかれ、多くの衆院議員は「夏休み返上での田の草取り」に精を出す構えだ。

「秋口解散」は"疑惑"解明が大前提に

ただ、解散も含めて首相が1強としての政局の主導権を回復するためには、支持率急落の原因となった「森友・加計両学園の疑惑」や「南スーダンPKO日報隠蔽問題」にケリを付ける必要がある。

自民、民進両党は4日午前、PKO日報問題についての衆参両院での閉会中審査を10日に実施することで合意した。首相も出席して「丁寧に説明」することで批判をかわすのが目的だが、「当事者の稲田氏や辞職した防衛省最高幹部が出席してきちんと答弁しない限り、疑惑は晴れない」(民進党幹部)ことは間違いない。さらに「森友・加計両疑惑」も閉会中審査で「真正面から疑惑解明に取り組む姿勢を示す」(自民幹部)ことが必要だ。「うやむやにしたまま衆院解散ですべてをチャラにしようとすれば自民党は大敗し、首相も退陣に追い込まれる」(首相経験者)からだ。

人事から一夜明けた4日午前、首相は記者団に「今日から新しいスタートです。謙虚に丁寧に結果を出すことで国民の信頼を回復したい」と淡々とした表情で語った。今後の政局を左右する「8・3出直し人事」だったが、4日朝のワイドショーなどでは有名女優の不倫問題など芸能ニュースが優先された。かつてない政治不信の高まりの中で、1強を誇って政権運営を続けてきた首相が、人事を境にどう変身するのか。それが今後の政局を占う最大のポイントとなりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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