太陽電池育成は、天理工場建設以来のビジネスモデル転換だ--町田勝彦・シャープ会長兼CEO
--そうした構想を考えるに至った背景、事情とは?
うちには太陽電池を40年以上やってきたノウハウ、蓄積がある。だからこそ、私が話しているような幅広い事業展開ができる、それがシャープならではのオンリーワン性なんです。逆に言えば、これから先は、太陽電池のパネル製造だけで儲かるほど甘くはないですよ。何しろ、太陽電池の発電コストをどんどん下げて、原子力などのほかのエネルギーとの戦いに勝たなきゃいかんのですから。その意味でも、トータルとして儲けられる仕組みが必要なんです。
私は社内の連中に言っているんですよ。2020年とか30年になったとき、シャープは変わってなきゃいかんぞと。昭和40年当時のシャープは、単なるアセンブル(組み立て)の会社だった。それが昭和45年に天理工場を造ってもらって、やっとエレクトロニクスメーカーになり、部品もやり始めた。そこから液晶が花開いて、企業として成長してこれた。
でも、最近は、将来に漠然とした不安を感じることもあるんです。半導体や液晶の産業の流れを見れば、アジアや新興国が追い上げてくるスピードは速くなっている。じゃあ、そうした中で、これから先も今までと同じ商売のやり方、考え方で本当にいいのかと。そんな問題意識でソーラー事業のトータルソリューションを考えて、今、その布石を打っているわけです。
--ソーラー事業を通じて、シャープを根底から変えたい?
そう、ビジネスモデルを変える。どうしてもメーカーというのは、新しい技術で何かをつくって売るという発想になるが、そういうビジネスモデルはいずれ限界が来るんじゃないかと。じゃあ、うちに何ができるのかと考えたときに、数多くの技術者がいる。儲かりもしないのに何十年もソーラー事業をやってきたから、専門家が社内にたくさんいて、技術、ノウハウの蓄積がある。だからこそ、ソーラーでは、その強みを生かしてエンジニアリングなどに事業展開の領域を広げることができる。まったく新しいビジネスモデルをつくり上げるチャンスなんです。