日銀の「リフレ派」新委員ら、現行政策を支持 緩和慎重派の退任で今後は全員一致の決定か

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1)のケースでは、物価が上がらないため、長期金利がジリジリと下がり出すことも想定される。その際、日銀は長期金利がゼロ%から大幅にマイナスかい離しないよう、国債購入量を減少させるとみられるが、その時に片岡氏がどのような意見を表明するのか注目される。

2)のケースで、実体経済の好調さと相まって物価が上がり始めた場合、市場では日銀の出口戦略に注目が集まり出すとみられるが、岩田規久男副総裁、原田泰審議委員と片岡氏が、どのような見解を示すかによって、政策の方向性に大きな影響が出そうだ。また、市場動向に詳しい鈴木氏の見方が、政策委員会の議論の流れを変える可能性もある。

3)のケースでは、思い切った緩和策が議論されるとみられるが、マイナス金利の深掘りに重点を置くのか、それとも量の拡大に回帰するのかなど片岡氏や鈴木氏の見解によって、政策委員会の意見のバランスが変わることも予想される。

一方、木内、佐藤両氏は、成長率見通しや物価見通しに関し、他の7人のメンバーに比べ、相対的に弱めの見通しを出していたとみられる。展望リポートに盛り込まれる見通しの中央値が、これまでに比べて上方修正されるかなども関心を呼ぶ可能性がある。

片岡、鈴木両氏の過去の主張

片岡氏は前職の三菱UFJリサーチ&コンサルティング時代から、量的緩和と増税への慎重なスタンスを旗頭とするリフレ派の理論を展開。14年には、消費増税を判断する有識者委員として増税延期を主張した経緯がある。

三菱東京UFJ銀行で副頭取を務めた鈴木氏は、16年6月に退任した三井住友銀行出身の石田浩二氏以来のメガバンク出身者となる。

銀行では市場部門を中心に歩み、市場部門長として市場性収益の拡大に貢献するなど市場動向に精通。YCC政策が、金融機関の収益や市場機能に及ぼす影響について豊富な知見を有しているとみられている。

鈴木氏は会見でも、超緩和策により金融機関への収益の影響は「相当程度ある」と指摘しつつ、そのことにより「金融システムとして、どうということはない」とも述べた。

市場では、超緩和策の長期化がもたらす副作用について、現場感覚の議論も期待されている。

就任会見では、両氏とも物価2%目標には距離があることを認めながらも、目標実現は「重たい責任で、私の使命だ」(片岡氏)と述べた。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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