「電撃更迭」でも安倍政権への影響は甚大だ ボディブローのように効いてくる可能性
自民党は翌26日の国会審議を取りやめた。衆議院法務委員会での組織犯罪処罰法改正案の審議も、参議院での東日本大震災関連期間困難区域の復興を柱とした福島復興再生特別措置法の採決も延期された。唯一参議院の国際経済・外交に関する調査会が行われたが、これはあらかじめ参考人招致が決まっており、変更すると参考人に影響するためだった。
同日、自民党の竹下亘国対委員長は民進党や共産党など野党各党を訪れ、混乱を招いたことを謝罪している。これに対し、野党は午前11時からは国対委員長会談、午後3時からは幹事長・書記局長会談を開いて対応を協議。さらに民進党は午後3時半から、東北議員団の13人が集まり、会見を開いている。
山形2区の近藤洋介衆議院議員は「とんでもない暴力だ」と怒りをあらわにし、岩手1区の階猛衆議院議員は「これほどの怒りはない。東北が必死に歩んできたことを踏みにじるような蔑視の発言だ」と憤った。
福島3区の玄葉光一郎衆議院議員は「復興大臣のポストが軽んじられているのではないか」と疑義を唱え、岩手3区の黄川田徹衆議院議員は「高木毅大臣は政治資金問題ばかり追及され、復興について審議できなかった。(長靴発言で辞任した)務台(俊介)大臣政務官にしても、(被災地の)外からやってきて外へ帰っていった。言葉も出ない」と無念さを語った。黄川田氏は東日本大震災で、家族や秘書を亡くしている。
民進党のネクスト復興大臣を務める金子恵美衆議院議員(福島1区)は、「復興庁のトップは総理大臣。それをサポートするのが復興担当大臣のはずなのに、足を引っ張っていた」とこれまでの復興担当大臣人事を批判しつつ、「吉野正芳新大臣就任は、地元では評価する声もある。初めからそういう人事をすればよかったのに、どうしてしなかったのか」と疑問を呈した。
その後、彼らは今村氏の事務所を訪れ、今村氏に議員辞職と被災地でのお詫び行脚を求める「抗議文」を渡した。今村氏は不在だったが、秘書は神妙な表情でこれを受け取っている。
ボディブローのように効いてくる可能性
27日には衆議院と参議院で新大臣の所信表明のために復興特別委員会が開かれ、国会は正常化する。また連休明けの5月8日に、総理入りで衆議院予算委員会の集中審議が行われる予定だ。
今村氏の大臣辞任問題は、今後の政局に影響するのだろうか。このまま今村氏の大臣辞任問題は忘れ去られるのだろうか。
そんなことにはならないだろう。そもそも2016年の参院選で、自民党は東北地方で秋田県選挙区は堅持したものの、青森県、岩手県、宮城県、山形県の各選挙区で議席を失った。また東京電力福島第一原子力発電所事故で多数の市町村が避難指示区域に指定された福島県では、現職の法務大臣であった岩城光英氏が敗退している。
強力な野党がいなくても、有権者は与党に反旗を翻すことがありうる。賢明な政党なら、その教訓を忘れるはずがない。現政権にとってボディブローのように効いてくる可能性が高そうだ。
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