JR東「自販機で飲料プレゼント」は普及するか アプリで購入、SNSで「ドリンクの贈り物」

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イノベーション自販機の機体(写真:JR東日本ウォータービジネス)

単純に“プレゼント”という機能だけで見れば使い方は限定されているように思えるが、実はかなり幅広い可能性がある。同社によれば、プレゼントドリンクの入手を特定の機体や時間帯で限定することができるし、さらにドリンクボトルの形状であれば必ずしも飲料に限ることもないという。

こうした特徴を用いれば、飲料メーカーのキャンペーンはもとより、さらには映画やアニメなどとのタイアップ企画、特定のイベント限定でのキャンペーンなどにこのプレゼント機能を活用することができるのだ。

例えば、とある駅の近くで行われるイベントとタイアップしてプレゼント付きのチケットを販売する。チケット購入者が駅の自販機でそのイベント限定のドリンク(もしくはボトル形状のグッズ)を受け取ることができる・・・・・・ということも、技術的には充分可能になるのだという。

「今までは自動販売機と他企業のタイアップはせいぜいラッピング程度に限られていた。ですが、このイノベーション自販機とアプリのアキュアパスを使うことで、その可能性も広がっていくと思っています。これまでの自販機とはまったく違う使い方ができる。それをまず知ってもらうことが第一歩」(同社)

スマホアプリと連動する自動販売機そのものは既に存在しているが、利用の幅という点では、イノベーション自販機はまさにイノベーション、今までにはない可能性を秘めているという見方もできるのだ。

「仕掛けていかないと先はない」

そもそも同社がこのイノベーション自販機を投入する背景は、自販機による飲料ビジネスの先行きへの危機感がある。ドリンク購入モードが多様化していることなどを受けて、自販機業界全体の売上はここ数年頭打ち。同社では次世代自販機やSuica専用自販機などの導入によって売上を伸ばしてきたという経緯もあり、「何かを仕掛けていかないと自販機ビジネスの先はない」という危機感が、イノベーション自販機の開発につながったというわけだ。

まだまだ課題の多い“アプリを使う”イノベーション自販機だが、使い方によっては未知の可能性を持っていることは間違いなさそうだ。同社はこの機体を「自販機のスタンダートにすることを目指す」としている。果たしてそのチャレンジは成功するのか、失敗するのか。イノベーション自販機は3月14日、東京駅からスタートする。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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