【産業天気図・人材サービス】国内景気の先行き不透明感拡大、正社員採用増から「曇り」。法規制強化のリスクも
08年4~9月 | 08年10月~09年3月 |
ここ数年来、年間1兆円ペースで市場規模の拡大を続けてきた人材サービス業界だが、今2008年度は総じて急拡大は一服となりそうだ。前半、後半とも「曇り」の状況が続くとみられる。
業界の中心となる一般人材派遣は専門事務に関しては、銀行、証券など金融関連業界の需要が依然として強く伸長が見込まれる。ただ大半を占める一般事務派遣は、客先での新卒正社員増、その後の景気後退に伴う需要鈍化を受け、低調に推移する見通しだ。なかでも採用力に欠ける地方の中小事業者は大規模な淘汰が進むと見られる。さらに社会保険料率の改定に伴う事業主負担増も重くのしかかる。東洋経済「会社四季報 夏号」でも業界大手のパソナグループ<2168>の今09年5月期を前期比微減益と予想するのも、同じくテンプスタッフ<2476>の今09年3月期を前期比横ばいとするのも、その点が大きい。
専門技術者を自社の正社員として雇用して派遣する技術者派遣業界も、楽観視できないのは同様だ。製品開発にかかわる専門技術者に対する客先のニーズは強く、大手各社とも技術者はフル稼働状態が続いている。ただし、高額な派遣単価を請求できる技術者の奪い合いは大手メーカーとの間でも激化しており、採用には各社とも頭を悩ませている。業界大手のメイテック<9744>が今09年3月期も採用費など先行投資の増大で利益横ばい状態となる見通しだ。
製造派遣や日雇い派遣などもそれぞれ客先の需要は強いが、製造派遣は09年3月前後から始まる、派遣期間制限(3年)の抵触日問題への対応、日雇い派遣は大手のグッドウィルG<4723>、フルキャスト<4848>で相次ぎ不祥事が発覚したことを受け、大幅な規制強化が見込まれるなど、そろって不安要因は大きい。
【風間 直樹記者】
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