JR西日本が「新たな長距離列車」を開発へ 「瑞風」より気軽に乗れる価格帯で登場?

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「まずは電車タイプにするか、あるいは瑞風のようなハイブリッドタイプにするかを決めたい。それによって、行き先やどの線区を走るかが決まってくる」(来島社長)。車両の内装をどうするか、食堂車を設置するかどうかも含めて、どのようなサービスを提供するかはその後の話だ。

注目したいのは、新たな長距離列車が寝台列車になるかどうかまだ決まっていない、という点である。ただ「サンライズ出雲のノビノビ座席のようなカーペット式の設備にする可能性もある」と来島社長は語っており、昼行ではなく、夜行列車を想定しているようだ。「瑞風と合わせて、別の形で旅をお楽しみいただきたい」と来島社長は言う。

「普通の寝台列車」の需要は高い

JR九州の「ななつ星in九州」、JR東日本の「トランスイート四季島」そして、トワイライトエクスプレス瑞風。これらの豪華列車は話題性こそ抜群だが、一般の人がおいそれと利用できる価格ではない。

が、トワイライトエクスプレスや北斗星の人気でわかるとおり、一般的な価格帯での寝台列車のニーズは確実に存在する。ななつ星、四季島、瑞風がピラミッドの頂点だとすれば、頂点を支える裾野の役割を果たす列車の存在があってもいいだろう。

JR西日本がこれから開発する長距離列車はまさに裾野の役割といえる。新たな長距離列車で鉄道旅の楽しみを覚えた人々が「いずれは瑞風やななつ星に乗りたい」という夢を持つ可能性もある。

かつて全国各地を結んでいた寝台列車は近年廃止が相次ぎ、2009年には首都圏と九州を結んでいた「ブルートレイン」が全廃。トワイライトエクスプレスと北斗星の廃止によって、国内で定期的に運行している寝台列車は、東京-出雲市・高松間を結ぶ「サンライズ出雲・瀬戸」のみとなっている。一方で、夜行高速バスの運行は活発化し、豪華シートなどを売り物にした便も登場している。

こうした中、JR東日本やJR九州にも気軽に利用できる長距離列車の開発が望まれる。バブリーな方向に向かうよりもはるかに日本の鉄道文化の育成につながるはずだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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