御三家に優先株の放出をこちらから言う必要はない−−益子 修 三菱自動車 代表取締役社長
--三菱の環境技術戦略の柱は電気自動車という理解でいいですか。
「iMiEV」など軽自動車だけでやっている間は、コアとまでは言えない。軽自動車のあと登録車への搭載がある。エンジンと併用するプラグインハイブリッドのような形で実用化していければ、当社の中の位置づけも非常に大きくなる。
--次期中計に懸案の優先株処理策が盛り込まれませんでしたが。
問題点は大きく三つある。繰越損失、潜在株式数、優先株の配当負担。優先株配当は繰越損失を消さなければ、配当できない。繰越損失を消すには今後もしっかり黒字を出し続けることを、株主へ訴えることが必要だ。ただ、今は必ずしも決断をする時期ではない。優先株を保有する三菱御三家(三菱商事、三菱重工、三菱東京UFJ銀行)とともに課題としては十分認識してはいるが、まず環境を整えて、いちばんいいタイミングで(方針を)出すべきと考えた。具体策については、何がいちばんいいのか検討しているところだ。
--再建後の三菱御三家との関係は、どうしていくのですか。
会社の運営という意味であれば、できれば自立化がいちばんいい。他方、株主、パートナーという意味であれば、これまで十分助けてもらったし、良好な関係を維持していければいい。資本的な面では、売ってくれと別にこちらから言う必要もない。銀行はすっきりしているよね、上限もルールもある。重工や商事はどう考えているのか、そこは彼らに聞いてもらったほうがいい。
--三菱自動車は、他の完成車メーカーの系列に属さない独立系としては、最小規模です。長期的に独立独歩を貫けるのでしょうか。
これまで当社の資本提携は失敗を続けてきた。業界全体を見渡しても成功した連合は少なく、それで生き残りが保証されるわけでもない。提携は流れにまかせて、案件ごとに組んでいけばいいのではないか。
生き残るには何より、他社にない独自技術、四駆や電気自動車で他社より先行し続けることが大事。「パジェロ」のようなSUV、「デリカ」のようなワンボックスの四駆など、当社はいい製品をつくってきた。高身長の軽自動車「トッポ」も三菱が最初に提案した。いいことはやっているのだが、追随した他社にやられてきた。独自製品を長く、自分たちで囲っていく経営努力が課題だ。
(西澤佑介 =週刊東洋経済)
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