漂流するソニーのDNA 西田宗千佳著
ソニーの新社長になった平井一夫氏は、かつて「蕩児の集団の番頭」だった、と冒頭に書く。プレイステーションを生み出したソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、グループの異端企業で、奔放なカネ食い虫だったこともある。そのボスの久夛良木健氏を支えたのが平井氏だからだ。
プレイステーション3の開発現場では、久夛良木氏は不眠不休に近いエンジニアにさらにハッパをかけ、何度も作り直しを命じたという。その姿は、アップルのスティーブ・ジョブズ氏を彷彿とさせる。
SCEに脈々と受け継がれているのは、久夛良木氏のエンジニア精神であり、それがソニー復興のカギと考えるからこそ、平井社長はカメラ、ゲーム、モバイルの3本柱で復活を図ろうとしているのだろう。エンジニアの心を震わせるビジョン、強いリーダーシップを示せるかどうかが、復興への大きな課題であることがよく伝わってくる。
講談社 1680円
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