日本経済の突破口 東谷暁著

日本経済の突破口 東谷暁著

きわめて論争的な本であるが、晦渋な箇所はほとんどない。日米を中心に新自由主義、新保守主義の立場に立った規制緩和至上主義の政策、学説に対して、統計も援用しつつ歴史的事実や国際比較の面からも疑問を呈し、論破している。金融資本主義、時価会計やBIS規制、格差問題、医療制度、年金問題等々、『正論』の連載をまとめたものだけにテーマは多岐にわたって読み応えがある。

収録に当たり徹底的に手を入れたこともあり、書き下ろしでない場合に往々見られる重複や違和感は少ない。主張の多くはごく真っ当かつ十分説得的と思われるが、こうした「構造改革」批判は日本再生へ向けての貴重な問題提起でもある。

倫理観なきフリードマン、ベッカー、グリーンスパンは論外として、同じく痛烈な批判の対象とされた多くの日本人経済学者にはぜひ反論してほしい。なお最終節の、多様性についての言及は議論を深めるべき重要な論点である。(純)

PHP研究所 1575円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スクープ! 積水ハウス地面師事件<br>「封印された報告書」の全貌

「なぜ積水はだまされたのか」。2年前の地面師グループによる大型詐欺事件。謎を解く同社の内部資料を本誌が独自に入手した。だまされた積水が調査報告書の公開を拒む理由は。取引を承認した役員が現在も要職にある“闇”をいま明かす。