社長から直接「業務連絡」すぐに返信は危うい訳、LINEやチャットワークを悪用"新型CEO詐欺"《まさか自分が…コロっとだまされてしまう手口》

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この時点では、メールの本文に直接的な金銭の要求などは一切書かれていません。その代わりに「今後の業務連絡を円滑に行うため、社内専用のLINEグループを作成してください」という具体的な作業指示が書かれています。

しかも、その指示は細かく具体的で、「グループには他のメンバーを招待せず、まずは作成のみを行ってください」や「作成が完了したら、そのグループのQRコードをメールで返信してください」などと指示するのです。

受信した従業員の中には、業務効率化のための新しい試みだと信じ込んでしまう人も出てくるでしょう。社長からの直接の指示であれば、疑うよりも先に行動しなければならないという心理が働くのは、組織人として普通のことです。

しかし、指示通りにQRコードを送ってしまうと、そこから先は詐欺師たちの独壇場となります。QRコードを通じてLINEグループに参加してきた詐欺師は、あたかも本物の社長であるかのように振る舞い、「極秘のM&A案件が進行している」や「緊急の財務処理が必要だ」などと、外部には漏らせない機密事項を装って言葉巧みに誘導を始めます。

メールからLINEへプラットフォームを移動させることで、被害者の警戒心を下げさせる心理効果が出ます。同時に周囲への相談を封じ込め、被害者を孤立させるのが狡猾で恐ろしいところです。

すでに深刻な被害が発生しています。2025年12月から2026年1月にかけて、東京都内だけでも十数社が被害に遭い、その被害総額は約6億7000万円に上ると報道されています。中には一社で1億円以上をだまし取られたケースも確認されており、地方都市の中小企業から都心の大企業まで、ターゲットは無差別に選ばれているのが現状です。

警視庁が公開している新型CEO詐欺の注意喚起資料
警視庁が公開している新型CEO詐欺の注意喚起資料(写真:警視庁ホームページ)

筆者のChatworkにも来た偽社長の圧迫メッセージ

国産ビジネスチャットサービスの「Chatwork」を悪用した手口も確認されています。

詐欺師は実在する社長の顔写真や経歴を企業の公式サイトから盗用し、本物そっくりのプロフィールを持つアカウントを作成します。そして、その偽アカウントから、取引先の担当者や自社の従業員に対して、突然「コンタクト申請」を送りつけてくるのです。

チャットツールにおいて、相手が本物かどうかを確認する際、多くの人は表示名やアイコン画像に頼りがちです。しかし、表示名は自由に設定できるため、見た目だけで真偽を判断することは不可能です。

「社長から直接コンタクトが来た」という驚きと、「承認しなければ失礼にあたる」という焦りが、冷静な判断力を奪ってしまいます。

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