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「ほぼ日手帳」が発売25年で年間100万部突破へ・・・"アナログな手帳"が海を越えて売れ続ける理由。開発担当だったアルバイト大学生は新社長に

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ファンの熱量は高い。フェイスブックのグループで活動し、ほかのユーザーに手帳をすすめたり、中には、ほぼ日の本社を訪れるために来日したファンもいたという。海外では、徹底的なデコレーションが特徴の1つ。白い部分が見えないほどシールなどで埋め尽くす例もある。

海外でも写真やシールを貼って楽しむ熱心なファンが拡大している。小泉氏曰く「手帳の使い方は、海外でも普遍的なものがあると感じる」という(写真:ほぼ日)

彼らに好まれるのは、日本のカルチャーに着目したデザイン。たまごっちとのコラボや、伊藤潤二氏のホラー漫画『富江』のカバーなどはアメリカでも好調だ。

ヒットの要因は高い品質だ。アメリカでは比較的安価な文房具が多いが、ほぼ日手帳は紙質から製本、カバーまでコストをかけている。アマゾンではオリジナルタイプが41ドル(約6150円)だ。価格が高くてもよいものを使いたいユーザーに支持されている。

コロナ禍のジャーナリングが追い風に

コロナ禍で「ジャーナリング」が流行したことも追い風だった。巣ごもりで自分自身と向き合う活動に取り組む人が増え、手帳が選ばれるようになっていく。コロナ禍を抜けても、ファンは順調に拡大。アジアでは廉価版との競争もあるが、日米欧が牽引して部数を伸ばし続けている。

「アメリカでの流行がヨーロッパにつながっていると感じる。今の世代はSNSで地域をまたぐコンテンツに触れられるので、好きなものを集めてシェアする楽しみが再発見されているのではないか。日本もまだまだ成長できる」(鈴木基男取締役 CFO)

01年春、収益を上げるべく、オリジナル商品の開発を進める中で浮上したのが手帳だった。糸井氏が手帳を作る旨をほぼ日読者に伝えると、商品化を望む約700通のメールが届いた。ほかの商品と比べて読者の熱量はかなり高かった。

糸井氏が手帳の担当として話を持ちかけたのが、大学生のアルバイトだった小泉氏。「手が空いていたからです」と小泉氏は笑うが、糸井氏は市場にない商品を作るつもりだった。経験のない小泉氏は適役だったのだ。

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