〈誕生秘話〉チヨダの爆売れ「スパッと履ける靴」がヒットをつかんだ裏側 累計500万足販売へ・・・靴業界は"ハンズフリーシューズ激戦期"に突入か
一方で、年配客を中心に「靴が履きにくい」「脱ぎにくい」という不満の声があることは確かだった。町野社長も楽に履ける商品はないかと長年考えていた。そんな2021年の夏、商品会議に登場したのがスパットシューズだった。
他社と差別化すべく、スパットシューズは当初から「手を使わずにしっかり履ける」点を重視して開発が進められた。想定したターゲットは、小型の靴べらを持ち歩くような60代以上のシニア男性だ。
スパッと履けるようにするため、かかと部分に靴べら状のパーツを入れる構造を採用し、角度の調整を繰り返した。機能を優先すると、かかとが目立ってしまう点はネックだった。また、足で靴のベロを巻き込まないようにする、強度を保つなど、さまざまな部品のバランスをとり、仕上げていったという。
掲げられた異例の販売目標
町野社長は初年度の目標として10万足を掲げた。チヨダの5000円前後の商品としては異例の販売規模だった。「1000円台の商品で在庫を厚く持って展開すれば年間10万足もありうるが、5000円の商品では難しい目標」(経営企画部長の竹島昌芳氏)。



















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