OECD調査【TALIS2024】日本の教員また「仕事時間が世界最長」、自己効力感や満足度低く「5年以内に離職が2割」の可能性?教職員を大切にする政策を
中学校調査はOECD加盟国等55カ国・地域が参加、うち16カ国・地域が小学校調査に参加。参加国の平均は中学校は27カ国・地域、小学校は12カ国・地域を対象に集計している。

結果を見て、「また先生たちが忙しいという話題ですか。もう飽きたよ」といった冷やかな反応もあるかもしれない。文科省や教育委員会でさえ、そんな感想を持つ人もいるだろう。
だが、教員が忙しすぎる現実を放置していては、人材不足や休職・離職は加速する。それは子どもたちの学びにも悪影響だ。
5年以内に離職する可能性がある20代教員は2割
こうした長時間労働の問題とも関連するが、OECDが公表している日本の詳細なレポートを見ると、日本の教員(中学校)の職務満足度や授業目標の達成度が低いこと、ストレスを非常によく感じる割合が国際平均より高いことなどを問題視している。
◎中学校教師の職務満足度、授業目標の達成度、ストレス、離職意向(30歳未満)

ただし、仕事の従事時間などと比べて、職務満足や授業目標への達成度合いなどは、個々の教員の気持ち、感触をアンケートで回答してもらった主観的なものなので、ほかの国と比べてどれほど意味があるかどうかは、微妙だ。理想が高い人ほど、数字は低く出やすい。
とはいえ、これらの数字が日本の教員の場合、高いわけではないことは気に留めておく必要がある。また、注目したいのは、5年以内に教職を離れる可能性があると回答した30歳未満の教員が約20%いたことだ(国際平均と同程度)。
この設問も可能性があるかどうかを聞いたに過ぎないので、実際に離職するとは限らない。なお、離職は必ずしも悪いことではないが、教員不足・講師不足が続いている昨今の情勢を考えると、離職意向のある教員がそうとういるのは、心配な数字だ。
国内の実績値を参照すると、小中学校教員の離職率は25歳未満で1.64%、25歳以上30歳未満で2.28%で、民間などと比べても非常に低い。とはいえ、わざわざ教員免許を取得しないと就けない職と、民間等を単純比較はできないし、ここ数年で若手の離職が増えている自治体もあるようだから、安心はできない。
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