ネットでよくある質問「人間ですか?」に潜む罠、不正な操作へと誘導しマルウェアに感染させる「ClickFix(クリックフィックス)」攻撃の被害急増

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多くのユーザーは、入力には警戒するが、キー操作への警戒心は低い。急ぐ状況では、画面の指示に従いやすくなる。

被害の深刻度も大きく異なる。従来のフィッシングでは特定サイトのパスワード漏洩とそれに伴う被害が中心だが、ClickFixはマルウェア感染を直接引き起こす。

個人・法人を問わず、あらゆるパスワードや重要データが盗まれ、ランサムウェアでは業務が完全に停止する事態にまで発展する。1台の感染を起点として他のパソコンやサーバーへと2次被害が拡大し、個人情報漏洩から企業の存続危機に至るまで、顧客をも巻き込んだ深刻なリスクへと直結する。

対策は?「キー操作の指示」には要注意

どう対策をすればいいのか。組織対策では、社員の操作権限を必要最小限にするなどの技術的対策に加え、脅威の周知が重要となる。「人間かどうかの確認」は正常なサイトでも使用されるため、それ自体を危険と誤解してはならない。警戒すべきは、その確認の直後にキー操作の指示が表示される場合だ。

通常、複数キーの同時押しを要求されることはない。このような指示には決して従わないことが重要である。個人の対策では、普段利用するサイトへはブックマークからアクセスし、メールなどのリンク経由を避ける習慣が有効だ。

◎ClickFixでマルウェア感染につながる危険な3つのステップと注意点

ClickFixでマルウェア感染につながる危険な3つのステップと注意点

ClickFix攻撃は技術的な脆弱性ではなく、人間を不正な操作へ誘導するだましの手口である。初心者は正規の手続きと信じて指示に従い、パソコンに自信がある者は自力解決を試みて罠に陥る。

より複雑な亜種も出現しており、詳しいユーザーが単純と軽視する油断も新たなリスクにつながる。最新の脅威を知り、不審な指示には従わないという原則を守ることが、最も確実な防御策となる。 

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
吉川 孝志 三井物産セキュアディレクション フェロー/上級マルウェア解析技術者

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よしかわ たかし

前職はウイルス対策ベンダーにて海外部署と連携しインシデント対応や顧客サポートを行う傍ら、官公庁及び警察機関等からのマルウェア解析業務に従事。現職ではWindows OS等の脆弱性を数多く発見、またマルウェアやランサムウェアの検知技術に関する発明で米国特許1件、国内特許3件を取得。ランサムウェアを用いたサイバー犯罪被害を未然に防止するなど警察機関への協力や、マルウェアに関連するサイバー犯罪の犯人検挙に貢献し警視庁から表彰された経歴がある。著書に「マルウエアの教科書」(日経BP)がある。

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