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藤木・経済産業事務次官に聞く「産業・エネルギー政策」の舵取り。トランプ関税への対応、アラスカLNG開発への関与は

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──日本は2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。しかし今年8月、三菱商事が洋上風力発電の3案件からの撤退を決めるなど、大きな壁に直面しています。

2050年カーボンニュートラルは大変高いハードルだ。そう簡単に一本調子で達成できるものではない。洋上風力に関しては欧米でも苦戦する事例が見られる。しかし、カーボンニュートラルという目指す方向を見失わず、達成に向けて努力をしていく必要がある。

先ほども申し上げたように、われわれ官としても、民間企業が直面している課題や民間企業が乗り越えなければならないリスクをよく見定め、それに対応した制度設計をし、マーケットを創造していかなければならない。

洋上風力に関しては入札当時と比べて資材価格をはじめとしてさまざまなコストが上昇している。他方で売電価格に反映するペースは必ずしも十分ではない。そうした現状を踏まえ、どのような手だてを講じるべきかを考えていく。

自動車関税問題では、企業への支援を強化

──アメリカとの関税交渉はようやく決着しました。自動車関税に関しては追加関税25%から従来の関税を含めて15%に引き下げる大統領令にトランプ大統領が署名しました。

ふじき・としみつ/1966年生まれ。1988年東京大学法学部卒業。同年4月通商産業省(当時)入省。大臣官房総務課長、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長、商務・サービス審議官。製造産業局長、大臣官房長、経済産業政策局長などを歴任。2025年7月から経済産業事務次官(撮影:筆者)

25%でなくなったとはいえ、引き上げ以前の2.5%が15%になることから相当のインパクトがありうる。日本メーカーの収益の悪化およびそれに連なる企業群への悪影響、また、賃上げの矛先が鈍るといった問題が懸念される。

本来、関税は輸入する側が負担する税であり、アメリカ側で物価が上がった結果として自動車の需要がどうなるのか。日本メーカーの輸出台数にも影響が出てくる可能性がある。

現時点ではメーカーが現地販売価格を据え置くことで関税分をのみ込んだりしているため、あまり大きな輸出台数の影響は出ていない。しかし、いつまでこうしたことを続けられるのか。

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