美容より健康のため?体感温度1〜2℃違う…家に傘230本ある“傘ソムリエ”が日傘を厳選「さすだけで涼しい」「男性も使いやすい」「畳みやすい」
傘の機能性が追求される中、シンプルなデザインの折りたたみ傘が増えているが、中には独創的なデザインにこだわった傘も存在する。土屋さんに、柄やシルエットが特徴的な日傘を挙げてもらった。
「ドイツのブランド『Knirps(クニルプス)』は斬新で個性的なデザインが特徴で、折りたたみ傘としては珍しい自動開閉機能を備えています。花柄やプードル柄のほか、『旅』をテーマに制作した『U.220 燦々』や、『宇宙』をイメージしたシリーズの『U.220 成層圏』などがあります。氷河をイメージした『U.220 Eternity(エタニティ)』は万華鏡のような美しさがあり、僕も愛用しています。

また、開いたときの形が珍しいのが『masu(マス)』。なんと四角形のフォルムで、東京五輪の野外観戦向けに開発され、前後の人の視界を妨げない設計になっています。

さらに形が特徴的な傘としては、オランダのブランドの『senz umbrellas Heat-proof Micro』があります。前が短く後ろが長い独特な形状です。オランダは風が強く傘が壊れやすいため、空力設計によって自然と風を逃すポジションに動くようになっています。僕は好きでよく使っていて、正面からの風に強いです」

傘の形にこだわるならば、三つ折りの傘は角ばったシルエットになりやすいため、丸みのある長傘のようなシルエットになる二つ折タイプがおすすめだという。
好きになることで、仕事が遊びに
実は、土屋さんは子どもの頃は傘が嫌いで、雨の日に傘を持つことはほとんどなかったそうだ。転機となったのは、ホームセンターに就職し、レイングッズ売り場の担当者になったことだった。
「傘が嫌いなのでまったくやる気がなかったのですが、お客様のご質問に答えられなかったことで、お叱りを受けたんです。そんな自分に対してすごく腹が立って、猛勉強するようになりました。すると、傘は長い歴史や文化的背景がありながら、今も進化を続けている分野であることを知り、どんどんのめり込んでいきました」
実際に使って性能を確かめることを重視し、給料の半分を傘の購入に充てると決意。悪天候の日には汐留のゲリラ豪雨やお台場の台風など、過酷な環境で傘の強度や撥水性を試している。傘が好きになってからは、”仕事”という意識はなくなっていった。
「仕事というよりも、研究に近い感覚です。“これはどんな傘なんだろう”と好奇心がどんどん湧いてくるので、僕にとっては完全に遊びや娯楽のようなものなんです」
しかし、傘が好きになってから1年後くらいに“倦怠期”に陥ったことも。毎年、『軽量化・撥水性・耐風性』で競い合う業界の動きに『ずっと同じことの繰り返しじゃないか』という思いから、傘を買うのをやめた時期があった。
「一時期、距離を置いたことで見える景色が変わっていきました。だんだんと『僕がもっと傘業界に貢献したら、業界が潤って、さらにいい傘を開発してくれるのかもしれない』と考えるようになったんです。その思いから傘の購入を再開し、試用や紹介をしていくなかで、また一層好きになっていきました。現在は、新商品の監修やメーカーとの共同開発にも携わっています」
単に暑さを避ける道具としてだけでなく、機能性やデザインなど、自分好みの傘を選ぶ楽しみを教えてくれた土屋さん。ぜひお気に入りの一本を手に、この夏を健康に、涼やかに乗り切ってほしい。
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