若手教員は夏休みに「越境」を、成長を止めない休息と変化への立ち向かい方 あまたの学校改革をリードした元校長が指南
学校の先生は大変な仕事だし、忙しいことを世の中の人が理解してくれている。私はそれを免罪符にしてしまい、地域や家族をないがしろにするところがあったと、自分を振り返って後悔しました。
例えば、いつもの駅で降りないで終点まで行ってみて町を歩く、そんなことでも発見はあるはず。いつものルーティーンを外す小さな旅や、知らない人が集まる勉強家やイベントに参加してみるとか、読んだことのない本や普段は観ないジャンルの映画を観るなどの小さな越境をしてみることを勧めます。
「今までこうだった」を疑おう
「ゆでガエル」という言葉があります。変化のスピードが遅い時には、それに慣れすぎて危機認識が遅れる、ということのたとえです。社会の変化のスピードは速い。ChatGPTが登場したのはほんの2年前。当時生成AIに懐疑的だった人たちも今は使いこなしています。
ところが、教育の大きな変わり目を迎えている、次期学習指導要領についての議論も活発に行われている、どうやら今以上に大きな変化が起きそうだ……って、職場ではそんな話をしていますか。厳しい言い方をするけど、いまだに10年前と同じことを見直すこともなく続けていないでしょうか。
新しい取り組みを紹介されても、「自分がファーストペンギンになるのは嫌だな」とか「ほかの学校はどうやっているか様子を見てから」そんな会話が学校でなされていないですか。若い先生方にはそんな時間の流れを踏襲してほしくないのです。
私は、水族館に行くと「チンアナゴ」の水槽の前でじーっと見入ってしまうのです。砂の中から顔だけ出しているのもいれば、うんと長く砂から体を出しているものもいる。背伸びしているチンアナゴは遠くが見えるし、自分と同じように背伸びしている仲間をみつけることができるはず。
従順にならず、子どもたちにも従順を求めず、人生100年時代どう生きるか、そんなことを考える、遠くも近くも見つめられる先生になれるよ、あなたも。
(注記のない写真: zak / PIXTA)
執筆:森 万喜子
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら