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「欧米のまねではだめ」「制限するのではなく質で戦う」・・・“獺祭の生みの親”が語った日本ブランドの生き残り方 世界の富裕層に刺さる酒をどう造る?

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――どんな難しさを体感したのでしょうか。

アメリカはオートメーションの国で、例えば「技術の進歩=人減らし」(という考え方)。品質は荒っぽくていいんですよ。そうするとうちの強みがなかなか通用しない。

一般的にアメリカ人はそんなにものすごくいいものを要求してないというか……。お客さんが「ここに魅力感じるだろうな」というようなところには引っかからない。

アメリカはテクノロジーを進化させて人を減らし、オートメーション化していく。私たちは人間個人の能力を伸ばすような技術の進化をさせて、さらに繊細なところまでみる作り方をしている。ここで、アメリカの文化や経済の壁にぶち当たるわけ。

トランプ関税はリスクではない

――となると、アメリカ人に引っかかる酒をどう作っていくのでしょう?

だから今はあがいている最中だ。

日本の岩国の酒蔵には今200人を超す製造スタッフがいて、ライバルとして隣を見ながら切磋琢磨している。すると、1年間でそうとう進歩する。

一方、アメリカの酒蔵は離れ小島で、いいところまで行ったら、そのまま停滞し始める。まだ全能力の10分の1しか動いていないから、フルで動けば製造スタッフが50人ぐらいになるだろう。そうすればある程度、日本の獺祭と同じような循環も生まれてくる。

――トランプ政権下での相互関税の発動など、地政学的リスクも高まっています。鬼門とされるアメリカより、ヨーロッパや中国を攻めるといった選択肢もあるのでは。

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