今日の日銀会合後の総裁記者会見でも「基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっていく姿が実現していくと判断すれば、引き続き政策金利を引き上げていく」という発言があるだろう。
これは単なるポーズではない。もし夏場にかけてトランプ関税の落ち着き所が見える、あるいは円安が進行するといったことがあれば、従来の予想通り9月にも利上げはあると筆者は考える。トランプ氏からの円安批判を受けて利上げを迫られるという後追いの姿は望ましくないからだ。
もちろん、夏場に株価が大きく下落したり、関税交渉が難航したりする状況で利上げを強行することはない。また、関税が企業収益や設備投資に与える影響を確認するために10月初めの日銀短観の結果を待つ可能性もある。
日銀の国債買い入れ減額をめぐる4つの「不都合な真実」
今回の6月会合の焦点は、利上げスタンスの確認ではなく、2024年7月会合で決定された国債買い入れの減額計画の中間評価のほうである。
この中間評価では、①月間の買い入れ額を毎四半期ごとに4000億円程度ずつ減額していくという現在の計画を予定通り2026年第1四半期まで継続することでよいか、②2026年4月以降の減額計画をどうするか、の2点を決定することになる。市場では、①については予定通り継続、②については減額幅を「四半期ごとに2000億円程度」と減額ペースを緩めて1年間継続し、それ以降は改めて評価する、との見方が大勢になっている。筆者も同じ見方をしている。
市場では、4月〜5月にかけて20年、30年、40年国債の超長期金利が急上昇し、国の新規国債発行入札でも超長期国債の応札が低調になるなど不安定化がみられた。そのため、市場を落ち着かせるためにも②で減額ペースを緩める配慮が必要との解釈がなされている。それはそれで正しいが、筆者はこの問題を考えるうえでは日銀が直面する以下の4つの「不都合な真実」を理解する必要があると考える。
② 市場は金利正常化への切り替えが十分できていない
③ 財政には拡張圧力がかかり続けている
④ 「最後は日銀が買ってくれる」が円安を招く
これらを順に確認してみよう。
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