三井住友海上とあいおいニッセイ同和、MS&AD損保2社は恩讐を越えてなぜ合併決議に至ったのか 背景にあった「政策保有株」の売却
そのため統合協議の方向性は3社の合併ではなく、あいおいとニッセイ同和が合併し、収入保険料の規模で三井住友海上と同程度の水準としたうえで、持ち株会社の傘下に2社をぶらさげる現在の姿に早々に収斂していった。
そうしてMS&ADは、巨大な業務システムと広範な営業網が二重に存在するという非効率な経営の道を選んだ。利益水準では2社を合算しても東京海上には倍近い差をつけられ、機関投資家などから非効率経営を折に触れて指摘される状況が続いた。
2010年の経営統合以後、株価は低空飛行を続け、株価純資産倍率(PBR)は10年以上にわたって解散価値を下回る0.7倍前後をうろうろしていた。
15年にわたる非効率経営
その状況を何とか打破したい三井住友海上側が、2社の合併は「今後の選択肢」と記者会見やメディアのインタビューなどで発言すると、合併によって飲み込まれまいとするあいおい側が「2社体制こそがわれわれの強み」「単なる足し算ではなく掛け算だ」と打ち消してみせる。
経営統合当初に掲げた「機能別再編」は思うように進まず、主力の自動車保険をはじめとして商品の統合すらままならない。両社があたかも別資本の競合損保として立ち回るような非効率な状態が、15年近くにわたって続いてきたのがMS&ADの偽らざる実態だ。
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