“伝説のファンドマネジャー”清原達郎氏が伝授!「私は会社四季報春号をこう読んだ」①建設・住宅、食品・化粧品セクター

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建設株は3〜4年前に業績が落ち込み、アナリストが推奨してなかったときに買うべきだったのだと思います。アナリストの仕事は株価を当てることではありません。彼らには「根拠を示して説明する」義務があるのです。しかし「根拠」が説得力を持つということは、それがある程度株価に織り込まれていることを意味します。私はアナリストを非難しているのではありません。株価を当てるのはアナリストの仕事ではなく、ヘッジファンドの仕事なのです。

一方の住宅はどうでしょうか。大手住宅会社の高級な戸建ては株高のおかげで悪くはないのですが、基本唯一の成長分野は北米です。内需には成長がないことを思い知らされる典型的なセクターです。

建設株同様、配当利回りが高くなければ買う理由はまったくありません。大手建設会社は日本で仕事がなくなると、海外で無理な受注を取って大赤字になる可能性があり危険です。それに対し、大手住宅会社の北米事業はとてもリスクが低く、アメリカの金利が下がってくれば成長の余地はあるでしょう。有利子負債÷純利益の比率は大手建設会社、大手住宅会社で4倍から10倍、まったく問題ありません。

食品・化粧品セクター

食品は典型的な内需セクターです。成長はありません。例外はありますが、海外売上高比率が10%程度の会社が多く、もし本気で海外を攻めるなら経営統合で会社の規模を大きくしないとダメでしょう。

一方の化粧品は資生堂が海外展開に積極的でしたが、大失敗。「四季報春号」で大幅下方修正でした。化粧品というのは、どうやら海外展開が難しいセクターみたいですね。

資生堂といえば、私が現役のヘッジファンドマネージャーだったときに空売るかどうか迷った揚げ句、9000円超えで少し空売りました。当時アナリストは全員超強気。私は圧倒されてビビってしまい、大儲けしそこないました。アナリストが全員強気の銘柄には特に気をつけないといけないですね。

(構成:許斐健太)

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清原 達郎 投資家

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きよはら・たつろう / Taturo Kiyohara

1981年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業。同年、野村證券に入社、海外投資顧問室に配属。スタンフォード大学で経営学修士号(MBA)取得後、1986年に野村證券NY支店に配属。1991年、ゴールドマン・サックス証券東京支店に転職。その後モルガン・スタンレー証券、スパークス投資顧問を経て、98年、タワー投資顧問で基幹ファンド「タワーK1ファンド」をローンチ。2005年に発表された最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに躍り出る。2023年、「タワーK1ファンド」の運用を終了し、退社。

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