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広州、浙江、上海…トランプ関税で新たな活路を開拓する中国5大ビジネス都市を直撃取材!後編「脱アメリカを進め内需の拡大を促進する」

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しかし中国の公式統計を見ても、2018年の米中貿易戦争後に義烏からのアメリカ向け輸出は同年の20%から2023年には11.7%に、2024年には少し戻して14%だったものの減少傾向にある。中国東呉証券のレポートでは、義烏国際商貿城の対アメリカ輸出比はもはや2%に満たないと発表しているのだ。

同証券のアナリストは、義烏はトランプ1期目時にはすでに輸出先の調整をしており「一帯一路」政策を基に新たな貿易体制を構築していた。つまり8年前には、すでに米中デカップリングへのリスク対策を行っていたということだ。

すでに8年前からリスク対策

杭州で長年商売をしている台湾ビジネスマンによれば、関税は中国が近年特に力を入れている「国産による代替え」と技術革新のプロセスを速めているだけだと言う。

本誌『今周刊』と『台湾経済新報』による「2025年中国台湾香港1000大企業の市値」での順位でも、4月22日現在、中国市場で業績好調な産業、例えばAIや半導体、EVなど、すべて中国が近年とくに力を入れており、デカップリングと技術国産化を推進している分野がランクインしている。

中国版NVIDIAとも称される寒武紀を例に、過去1年間で市値は388%に跳ね上がり、営業収益も65%増。順位では一気に260社を追い抜いた。

また、中国半導体IPのトップである芯原は、過去1年間で市値は209%増、2024年は欄外だった順位は2025年いっきに435位に入った。さらに中国EVの雄、BYDに至っては、市値は82%増、順位も昨年の21位から13位に躍進している。

関税戦争が勃発後、トランプ大統領が提示した交渉のポイントからもアメリカ側が中国の急成長を憂慮していることがわかる。2つの個別の条件を見てみると、1つめは中国企業のアメリカでの投資、2つめは中国市場の開放がある。

前者についてアメリカは具体的な要求を付け加えており、中国企業がアメリカ企業と合資企業を設立してアメリカ企業に技術移転を行うこととしている。

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