「全日制高校通わず東大へ」、通信制&高認から逆転合格した5名のリアルな"どん底体験記" 不登校、病気、夢…それぞれの境遇から得た青春

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Cさん:僕は不登校でしたし、家でも病気のせいでほとんど勉強できていませんでした。学年順位は、下から簡単に数えられるような順位でした。

Dさん:私も、公演などで学校には全然行けませんでしたが、勉強自体はそんなに嫌いではありませんでした。とはいえ、使える時間も限られているし、当時は舞台で頑張りたいという気持ちが強く、勉強は蔑ろになりがちでした。

ほぼすべての通信・高認出身東大生が、私と同様に成績の“どん底”を経験していたようだ。私も、思うように勉強が進まず、気持ちが落ち込む時期があった。しかし、定期テストなどがない分、東大に受かることだけを考えて長期的な計画を立てられた面もある。

自身の著書にもまとめた「休憩を一切しない勉強法」や「全く解かない勉強法」を編み出したり、“国語だけを1日11時間勉強する3か月”を設ける、英語ではなくドイツ語受験を選択するなど、常識にとらわれない独自の方法を確立した結果、首席とほぼ変わらない点数で東大合格を果たすことができた。

では、最終的に東大に“逆転合格”を果たした今回のメンバーには、どのような共通点があるのだろうか?

Aさん:ある時、「人に教えてもらってばかりでは進まない」と思ったんです。授業を受けるくらいなら、自分でガリガリ進めた方が早いなと。そこで中学3年生の夏から、中1の範囲に戻って独学を始めました。すると、中3の冬には中学範囲が終わり、高1の6月には高校範囲まで終えることができました。とにかく1人で問題を解き続けたことで、進みは非常に早かったと思います。

Bさん:私はAさんとは真逆で、効率とは程遠いやり方で臨んでいました。でも、それもまたよかったのではないかと思っています。受験勉強には、受験以外の要素、例えば試験の傾向を掴んで対策する力や、自分で計画・戦略を立てて勉強する力なども求められます。しかし、私はこうしたことがとても苦手でした。そこで、とりあえずは愚直に、自分が面白いと思う科目や参考書にひたすら取り組んでみたのです。1つの問題を1週間以上考え続けたこともありました。決して効率的ではなかったと思いますが、こうした勉強方法は、大学で数学を学んでいる現在にも活きていると感じます。

共通するのは、学校の枠にとらわれないからこそ、自分自身で勉強方法を試行錯誤してきた点だろう。自分に適したスタイルに出合ったり、ふとしたきっかけで火がついたり、強制されるものがないからこそ“「勉強」の勉強”に時間を割けたことが、大学以降の学びにも活かされているようだ。

全日制高校を選ばなかったことの“価値”は「余白」ができたこと

ほかにも、全日制高校に通わなかったからこそ経験できたことは多くある。私も時間があり余っていたからこそ、高校生時代には老若男女、リアルやインターネット問わず、さまざまな人との出会いを楽しむことができた。

通信・高認出身東大生は、全日制高校に通わないことの“価値”をどう捉えているのだろうか。

Aさん:通信制高校で多様な人と出会えた点は良かったと思います。もともと通っていた進学校とは違い、そもそも大学を目指す人自体が1〜2割ほど。同級生の中には、日雇いバイトや会社勤めをしながら在籍している人もいました。たまに学校に行くと、そんな彼らから『仕事でこんなことができるようになって、認められた』といった話を聞くこともあり、よい刺激になりました。

Dさん:逆説的ですが、学校に通うことが楽しかったですね。私が通っていた学校は、「行ってもいいし、行かなくてもいい」という方針だったので、学校に通うのは、自分が行きたいと思った時に限られるわけです。先生たちも、友達どうしのような雰囲気ですごくいい関係性だったので、リフレッシュのために学校に行く感覚でした。同級生には自分がやりたいことをやっている人も多くて、“青春”という感じがしました。

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