国防の死角 清谷信一著
東日本大震災での救助活動における献身ぶりが話題になった自衛隊。自衛隊の評価を高める契機になったが、それでも多くの問題を内在している。震災時でも、巨額の開発費を投じた陸自の無人飛行機は使えず、無線機もダメ。懐中電灯といった基本的な装備も足りず、速やかに現場に送り込まれなかったケースも。それでも、あれだけの活動ができたのは、現場の隊員たちの“頑張り”ゆえだった。
武器などの装備も、自衛隊は実戦を想定せずに調達しているのは驚きだ。防御力の弱い軽装甲機動車や有効射程も威力も足りない機銃、ステルス性の弱い護衛艦。ようやく決定した次期支援戦闘機F35は、価格の高騰と製造の遅れで調達さえも不透明。防衛省のちぐはぐな姿が描かれる。
自衛隊は軍隊であるがゆえに、政治力が必要だが、軍事を普段から考える政治家は皆無に等しい。これは、国防をつねに他人事として軽視してきた国民に起因するのかもしれない。
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