中高生4人に1人が「ネット依存」の疑い、「ルール作り」上手な親と失敗する親の決定的差 17歳のネット平均利用時間は「1日6時間34分」
「ネットはアルゴリズムによってその人が関心を持つ情報が次々と表示される仕組みになっているので好きなものだけ見られるし、気の合う仲間とだけ話せる環境が作られやすい。いわゆるエコーチェンバーやフィルターバブルの中で、親の小言も宿題のことも忘れられるので、格好の“逃げ場”になっているのです。また、15秒ほどの動画が次々と流れてくるアプリがありますよね。ラットを使った実験でも、快刺激を一気に与えるより少しずつ与えたほうが渇望状態になって依存になりやすいことがわかっていますが、同様に短い動画の連続的な閲覧も依存につながりやすいのです」
とくに男子は中学生にもなると性的な関心が高まるが、ネットには性的な情報もあふれているので耽溺しやすいという。
「性的な動画を見続けると強い衝動となり、願望の処理が難しくなることがあります。私が支援に入ったケースでは、子どもが盗撮画像を集めたサイトを見つけて夢中になり、実際に盗撮してしまったことがありました」
大人と子どもの関係性の変化も大きいと竹内氏は指摘する。
「今は、昔のように親や先生が子どもに対して『ダメなものはダメ』と厳しく指導することが難しい時代です。子どもはネットを通じていろいろな情報に触れているので、大人の言うことを聞かない子も増えました。そうした指導の難しさも、ネット依存を助長していると思います」
各国も試行錯誤、法律も必要だが最後は「親子の戦い」
以前は学校でもネットを「見せない・使わせない」ことで子どもを守ろうとしていたが、GIGAスクール構想の下で子どもたちに1人1台端末が配布され、今年2月にはデジタル教科書も正式な教科書として扱う方針が示された。
一方で、日本とは違った選択をする国も現れている。ICT先進国のスウェーデンやフィンランドのリーヒマキでは紙の教科書を推進し始め、オーストラリアでは16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決され、日本でも話題になった。
こうした世界の動きをどう見るべきか。竹内氏は、「日本だけでなく世界各国も試行錯誤しているということだ」と話す。
「オーストラリアだけでなく、韓国でも未成年のSNSを制限する法案が出ています。日本でも半数くらいの子どもたちは『自分ではやめられないから大人に決めてもらったほうがいい』と言います。しかし、いくら法律で規制しても、年齢を偽ってアカウントを作るなど、抜け道を見つける子は出てきます。法律も必要ですが、それだけではうまくいきません。ネットに一切触れさせないということが難しい時代である以上、結局最後は親と子どもの戦いになるのです」