反・幸福論 佐伯啓思著
権利や豊かさ、便利さを追求し、「幸せになるべき」と刻苦勉励してきた日本人が、今や不幸の底に堕ちている。
近代社会は、「皆が平等に幸福になる権利」を原則としてきた。だから、「自分は人並みに幸福でなければいけない」と思い込み、幸福の基準を他人と比べてしまう。
日本の伝統的精神の中には、人の幸福ははかないものとして、むしろ幸福であることを否定するところがあった。少なくとも、現世的で世俗的で利己的な幸福を捨てるところに真の幸せがあるという思考だ。かつての日本人がどうしてそう考えたのか、思い出してみたいと著者はいう。
抑制された筆致の中に、日本人の禍福の真理が詰め込まれている。
新潮新書 777円
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