助産師YouTuber・シオリーヌ、人権教育につながる「性教育」学校で伝える際のヒント 自分の体について決める権利は自分にある

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そうやって日常の中にある性の話に、ある意味〝慣れる〟経験を積み重ねることで、性の話を恥ずかしいと感じることはなくなっていきました。ぜひ“先生”という肩書をいったん横に置いて、一個人として性教育を受けてみてください。自分の持っている権利を知り、自分の性に対する価値観と向き合ってみることで、少しずつ性の話への苦手意識が薄れていくかもしれません。

性教育に否定的な考えをお持ちの方から、「あまり早くに性の情報を与えることで、子どもが性に目覚めてしまったらどうするのか」という質問をいただくことがあります。「好奇心をあおられて、危険な行動を取るようになってしまうんじゃないか」と感じる方もおられるようです。

この「寝た子を起こすな」というご意見は、日本の性教育においてかなり昔から根強く存在すると聞きますが、これは“誤解”であることがわかっています。

先述した、『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』に沿った授業を受けた子どもたちにどんな変化が表れるのかを検証した調査では、初めて性行為をする年齢が遅れている、避妊グッズを使用する人数が増えている、性的な関係を持つパートナーの数が減っている……などのように、行動がより慎重になることが明らかになっています。(参照:ユネスコ編、浅井 春夫・艮 香織・田代 美江子・福田 和子・渡辺 大輔訳『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】—科学的根拠に基づいたアプローチ』明石書店、2020、155‒162ページ)

こうした調査結果を知っていただくことで、性教育に対する漠然とした不安感を拭うこともできるかもしれません。一方でエビデンスのある情報が存在していたとしても、「どうしても抵抗感がある」と感じられる方も、もちろんいるでしょう。大人世代の私たちには、性の話はタブーだとして扱われてきた経験が多々あります。

そうした中で、子どもたちに性の情報を伝えることに抵抗感を覚えるのは、まったく不思議なことではありません。ならばまず、教職員向けに性教育の研修に行ってみる、というのもおすすめの方法です。

必要があれば外部講師を招くなどして、先生方が生徒の気持ちで性教育を受けてみる。その中で、性教育というのはいやらしいものではなく、子どもたちの体と心を守るために役立つものだと知っていただけたら、安心感が生まれることもあるでしょう。

(注記のない写真:fumi / PIXTA)

執筆:シオリーヌ(大貫 詩織)
東洋経済education × ICT編集部

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