助産師YouTuber・シオリーヌ、人権教育につながる「性教育」学校で伝える際のヒント 自分の体について決める権利は自分にある
たとえば性行為をする・しないということで考えてみても、それがどんな意味を持つ行為なのか? どういうことが体に起こる可能性があって、危険を避けるにはどんな選択肢があるのか? さまざまな側面から見たメリットやリスク、自分に与えられている選択肢についてよく理解した上で考えると「いまはするのに適切なタイミングじゃないな」と慎重になる子もいるでしょうし、「リスクを下げる方法を取り入れた上で、しよう」と考える子もいるでしょう。
どちらを選択するにせよ、大切なのはその子が納得して選んだ選択であるかです。あとになって「あのときよく知っていたら、こんな選択をしなかったのに」「訳がわからないまま、気づいたらリスクを負っていた」と後悔することがないように──子ども自身が性についての正しい知識を持ち、納得した上で、自分の道を自分で選べるように支えていくのが性教育ではないかと考えます。
「寝た子を起こす」という誤解
教員の皆さんから「性教育が大切なのはわかっているけど、どう話したらいいのかわからない」という悩みをよく聞きます。悩まれるのも当然で、実は教員になるための養成課程の中で「性教育の教え方を教わる」という機会は、そう多くないそうです。
授業でどんな内容を扱ったらよいのかについては、『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』等の資料を参考にすることで詳しく理解できます。一方で、いざ授業をしようと思った際に、どんな言葉選びでどんな態度で取り組めばよいか──これまではそういったことを学べるお手本が、なかなかなかったのかもしれません。
そこでもし、すぐに自分で教えるのが難しいと思ったら、地域の助産師や産婦人科医など、性の専門家を外部講師として呼ぶこともひとつの方法ではないでしょうか。そうすることで、先生たちにも性の話の伝え方を一緒に学んでいただきながら、子どもたちに必要な情報を届けていくことができます。
また外部講師には、その日しか会わないからこそ言えることがあるという面もあります。子どもたちと毎日顔を合わせる学校の先生たちの場合、関係性があるがゆえに気恥ずかしさなどが芽生えてしまい、性の話をすることに難しさを感じる場合もあると思います。「自分だけでどうにかしなくちゃと抱える必要はないんだ」ということもぜひ知っていてください。
性教育を伝える側になる前に、まずは大人自身が受け手として、性教育の授業を受けてみるという段階が大切だとも感じます。いまはYouTubeの動画や書籍、絵本でも性教育について知ることができるコンテンツがたくさんあります。
実は、性教育を全国で伝え歩いている私自身も、初めから堂々と性の話ができていたわけではありません。思春期になる頃にはなんとなく性の話に気恥ずかしさを感じるようになっていたし、そうしたことを人と話すにはそれなりの抵抗感を覚えていたように思います。その感覚が払拭されていったのは、助産師として働く中で普通に大事な性の話に触れる機会がたくさんあったことが大きな要因だと感じます。