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大作家を批判できぬ文芸出版社の「文壇タブー」 林真理子日大理事長への「忖度」が原因か

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もともと日大本の出版企画そのものは、林真理子が日大理事長に就任する1年以上前にスタートしたものだ。日大では、学生時代アマチュア横綱として鳴らした元相撲部監督の田中英壽が、長いあいだワンマン理事長として君臨してきた。「田中帝国」「日大帝国」と呼ばれるゆえんだ。

16学部を擁する大きな私大には、文字通り巨大利権が渦巻いている。一職員から理事長に昇りつめた元相撲部監督の田中は、アメリカンフットボール部OBで理事に就任した井ノ口忠男や安倍晋三のゴルフ友だちとして有名な医療法人「錦秀会」元理事長の籔本雅巳らと組んで、大学を私物化してきた。あげく2021年秋以降、東京地検特捜部が捜査に乗り出して井ノ口らを背任容疑で摘発し、田中を脱税で検挙したのは周知のとおりである。

私自身、日大ならびに田中については、過去に単行本や雑誌記事に書いていたので土地勘もあり、事件を機に日大帝国を単行本の題材に定めた。

 そして版元をどこにするか、思案していたところ、平凡社から中央公論新社に移籍したばかりの編集者に声をかけられ、同社に決めた。中央公論新社では、2010年代前半に月刊誌『中央公論』で『森功の企業事件簿』や『森功の社会事件簿』という表題で時事コラムを連載していたこともあり、社内にも知人の編集者が何人かいたため、やりやすいのではないか、と感じた覚えがある。

小説家による私大改革を見極める

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