福井県立大学に日本初「恐竜学部」が誕生、「学ぶのは恐竜だけではない」狙い 博物館とも連携、総合型選抜の倍率は10倍超

卒業生は「重要性を増す産業」に貢献できる
恐竜学部のスタートに当たり、先行して行われた総合型選抜の志願倍率は10倍超の人気ぶり。恐竜・地質学科6人の募集に対し県内8人、県外55人の計63人が出願し、倍率は10.5倍となった。一般選抜は大学入学共通テストを受験のうえ、前期日程は理科と英語の個別学力検査、後期日程は面接が行われ、合否判定される。
「私たちもここまで人気が出るとは思いませんでした。これだけ恐竜に関心のある学生がいるのは、とてもありがたいことだと感じています」と、西氏。適性は問わないが、恐竜や自然科学に興味関心のある学生にぜひ来てほしいと西氏は語る。
「多くの人は、人生の中で恐竜の化石と共に毎日過ごす機会なんてほとんどないでしょう。この貴重な機会を十分に楽しんでほしい。そして恐竜学部での学びを次の人生に生かしてほしいと願っています。卒業生には、できれば福井県で満足できる職に就いてほしいですね」
卒業後の進路については、研究者、学芸員、理科教員のほか、IT関連、土質力学・道路測量に関する地質系のデジタル関連、観光業、出版業や報道関係、地質・土木・建築系コンサルタント、土木系の公務員、ゼネコン等の建設産業、環境アセスメント関連などを想定しているという。
「フィールドワークとデジタルを学んだ恐竜学部の学生は、これから重要性を増す産業で貢献できるでしょう。今、全国的にインフラ整備に限界が来ているほか、気候変動や自然災害も社会課題となっていますが、こうした野外に関する仕事に対応できる人材が減っていることに危機感を持っています。恐竜学部で自然科学の重要性や楽しさを教えることができれば、このような重要な産業の人材育成にもつながると考えています」
もちろん、恐竜研究を福井県で継続させていくためにも、研究者を育成していくことは言うまでもない。現在、恐竜をはじめとした古生物の研究ができる大学は減少傾向にある。
「恐竜研究の場は決して多くなく、このままでは研究自体が先細ってしまいます。こうした状況からも、本学では大学院の設置も検討しており、恐竜を含めた古生物のすべてを学べる拠点にしていきたいと考えています」
(文:國貞文隆、写真:福井県立大学提供)
東洋経済education × ICT編集部
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