国際データ伝送の大半は海底ケーブルで行われるが、その脆弱性への対策が必要だ。
欧州の海底ケーブルを切断した嫌疑が中国籍の貨物船にかけられている。2024年11月、ドイツとフィンランド、スウェーデンとリトアニアをそれぞれ結ぶ2本の海底ケーブルが破断した。ケーブルが破断した時期に、付近の海域に中国企業が保有する貨物船がいたのである。
ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、同月18日、「バルト海の2本の海底通信ケーブルに生じた損害は、破壊行為の可能性が高い」と述べた。同国防相は、犯人は不明であるとしつつ、「ハイブリッド戦の戦術」と表現した。
不審な中国船、欧州でケーブルやパイプ切断相次ぐ
欧州各国は、中国のばら積み船の動きを調査している。海上交通を追跡するグループが提供したデータによると、ロシアのウスチ・ルーガ港からエジプトのポートサイドに向かっていた中国籍のYi Peng 3が同月17日と18日、それぞれの海底ケーブルが破断した時刻帯に、その付近を通過している。複数回回頭するなど通常ではない動きが取られていたとする報告もある。
またYi Peng 3のような4万トン級の船舶であれば、通常、海底ケーブル切断海域の水深でも海底に十分届く錨鎖を装備している。いかりを下ろして海底で引きずれば、海底ケーブルの切断は可能だ。
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